カリフォルニアの「2045年ゼロカーボン電力」を阻む「これだけの課題」
California’s Green Dream
山火事は電線が原因となる場合もある。22年3月に科学専門誌サイエンス・アドバンシズに発表された報告によれば、2000年代の山火事は「それ以前の20年間と比べて規模は最大4倍、頻度は3倍に増えている」という。
カリフォルニア州では電力網の老朽化と自然災害の「深刻化」が電力供給への二重の圧力となって、二酸化炭素(CO2)排出削減の取り組みを複雑にしていると、ファニボンは本誌に語った。
州議会に提出された報告書によれば、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は電力大手3社に対し、山火事予防と保険料のコストとして19~23年に270億ドルを料金に上乗せすることを許可。コスト上昇率は27年までインフレ上昇率を上回る見込みだ。
貯蔵容量の拡大が急務
一方、貯蔵容量が発電量に追い付かないという問題もある。昨年11月のロサンゼルス・タイムズ紙の調査によれば、同州の過去1年間の発電量は太陽光発電だけで300万メガワット時。51万8000世帯の1年分の電力を賄える量で、17年の8倍に増えている。
電力網の過負荷を防ぐために余剰分を近隣の州に送電し、カネを払って受け入れてもらうことさえあった。そうしたコストは「カリフォルニアで電力料金を払う人々が負担している」と、独立系の発電会社でつくる「西部電力取引フォーラム」の元幹部のゲリー・アッカーマンは言う。