カリフォルニアの「2045年ゼロカーボン電力」を阻む「これだけの課題」
California’s Green Dream
ディーハンらによれば、カリフォルニア州は23年、太陽光発電の余剰電力を州の電力網に送電することで公共料金を7割削減。その結果、民間住宅のパネル設置件数が激減しているという。
NPO「憂慮する科学者同盟(UCS)」の西部諸州エネルギー責任者マーク・スペクトは本誌に対し、クリーンインフラの構築を急ぐべきとの認識が広がっていると指摘。「特効薬はない」が「送電線架設、電力網への連結、新規インフラ計画の認可などのプロセスは全て改善の余地があり、次期議会での検討を期待している」と語った。
ラトガーズ大学ビジネススクールのケビン・ライオンズ准教授も「カリフォルニア州が直面する難題」を解決するカギは災害に強い電力インフラの構築だと本誌に語った。目標達成には「強固でダイナミックな地域・地方のサプライチェーン」が必要だという。
同州でクリーンエネルギーの供給システムを創設するには、多様で時に過酷な気候に対処しなければならない。気候変動とその影響を調査・分析するNPOクライメット・セントラルによれば、20〜23年の州全体の大規模停電の61%近くが「極端な気象」によるもので、5万以上の一般家庭や企業に影響し、300メガワット以上の電力喪失につながったという。
州内最大手の電力会社パシフィック・ガス&エレクトリック・カンパニー(PG&E)の広報担当者もネットメディアのアクシオスに対し、23年はエネルギー絡みの停電で「史上最も衝撃的な年」だったと語った。