農業の余りものが資源の宝庫? もみ殻を「炭素素材」に変えるジカンテクノのバイオマス技術
日本の農業と製造業の発展に寄与する事業を目指す
ジカンテクノが事業を始めたのは、大量の農業残渣の廃棄に困っている農家の姿を目にしたことがきっかけだという。農家にとっては農業残渣の処分費用が大きな経済的負担となっており、結果的に生産者の利益を奪う形となっている。
こうした背景から、同社は鉱物に代わるバイオマスの原料開発だけでなく、日本の農業、そして製造業振興に貢献することを目指している。
そのため、製造拠点は農業残渣が発生している現地に設置する。農業生産者と手を組んで製造を行うことで、地域振興や雇用促進、農業生産者のやりがいまでをも生むのだ。さらに、カーボンフットプリントの削減や、サプライチェーンの見直しにも大いに貢献するものとなっている。
「日本の農業と製造業が連携するエコシステムを構築することで、日本のものづくりの復権にも繋がり、製造業の発展にも寄与できると考えています。また、1次産業の残渣が2次産業の高機能素材の供給源となることで、鉱物資源への依存からの脱却、そして循環型社会の構築を実現することを目指しています」と、木下氏は話す。
現在、国内に大量生産拠点を建築中で、来年度から市場への供給が開始される予定。さらに、タイやインドネシア、インドなど海外拠点の設置も視野にあるという。
世界では年間1億4000万トンのもみ殻が排出されており、日本と同様に一部は有効活用されず廃棄され、大量の農業残渣が発生している。ジカンテクノが2次産業への活路を見出したことをヒントに、新たな再利用の可能性が広がっていけば、世界のカーボンニュートラルの実現に役立つことになるだろう。
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