最新記事
SDGsパートナー

農業の余りものが資源の宝庫? もみ殻を「炭素素材」に変えるジカンテクノのバイオマス技術

2023年12月14日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
バイオマス素材の一つ「ボタニカルシリカ」

バイオマス素材の一つ「ボタニカルシリカ」

<使い道のなかった農業残渣から、シリカやグラフェンを製造。農業と工業を繋ぎ、カーボンニュートラル達成を目指す>


世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。


◇ ◇ ◇
  

ジカンテクノ株式会社は、農業残渣(ざんさ)などの植物性廃棄物を活用して炭素素材などの製造開発を行う企業。農業残渣を有効活用することは、農家の負担軽減やカーボンニュートラルの達成など、多くの課題解決へと繋がっていく。

活用されず廃棄されるもみ殻を利用し、高機能素材を開発

稲は収穫した後、米として食べられるように脱穀が行われる。その際に大量に発生するもみ殻は、多くは堆肥や家畜の寝床に敷く資材として活用されるが、約3割は廃棄されているのが現状だ。廃棄量は日本全体で年間54万トンに上るという。

昔は不要なもみ殻は野焼きで処分されていたが、現在では野焼きは禁止されている。その結果、不法投棄が横行し、環境や生態系の破壊を引き起こしている。また、廃棄されずに放置されたもみ殻からはCO2の25倍の温室効果を持つメタンガスが発生するため、地球温暖化への影響が懸念されている。

Jican_sub1.jpg

集められたもみ殻

ジカンテクノ株式会社は、もみ殻をはじめとするこうした農業残渣を活用し、製造業向けの素材を開発する企業だ。これまでに農業残渣を再利用し、シリカ(二酸化ケイ素、もしくは二酸化ケイ素によって構成される物質の総称)や、グラフェン(炭素原子が結びついた素材で、原子1個分の厚みの薄いシート状のもの)などの炭素材料を製造することに成功している。

「植物は生育過程で二酸化炭素を吸収して成長するので、植物の残渣(かす)を利用した素材はまさしくカーボンニュートラルな素材と言えます。また、シリカや黒鉛は鉱物資源なので採取に大きなエネルギーを必要としますが、農業残渣由来であれば、鉱物資源の採取に比べ、製造過程でも圧倒的に二酸化炭素排出が少なく済みます」と、代表取締役の木下貴博氏は語る。


自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・ベトナム、貿易協定交渉開始で合意 非関税障壁な

ワールド

金融市場への影響を引き続き注視=米相互関税一時停止

ビジネス

日経平均が3万4000円を回復、米相互関税停止を好

ワールド

中国、ASEANと貿易協力強化の用意 議長国マレー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた考古学者が「証拠」とみなす「見事な遺物」とは?
  • 4
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」は…
  • 5
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 6
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中