最新記事
インタビュー

その本はアルゴリズムに「読まされて」いる──「権威主義的な読書リスト」が役立つ理由とは

2023年5月2日(火)09時10分
ニューズウィーク日本版ウエブ編集部
本

Viorika-iStock

<読書で必要なのは「網羅性」であるにもかかわらず、購入履歴や検索履歴によって偏っている。読書がタコツボ化しないための方法について>

「本は百冊あればいい」と新刊『百冊で耕す 〈自由に、なる〉ための読書術』(CCCメディアハウス)で述べるのは、朝日新聞の編集委員で稀代の読書家でもある、近藤康太郎氏。読書を日常に組み込み、本物の教養を培うコツについて、近藤氏に聞く。

◇ ◇ ◇

──現代人は多忙で読書する時間を取るのが難しいですが、どうすると良いでしょうか。

私自身、まったく本を読めなかった1年がありました。最初の本を書いていた頃で、新聞でも上司が私に大きな記事を平行して何本も書かせたからです。いま振り返ると、大量に書くのは大事な経験でしたが、同時に、このままではライターとして枯渇すると肌で分かりました。

そこで食事をしながら15分、風呂で15分、寝起きの15分というようにゲーム感覚で本を読む時間を無理矢理つくり出す工夫をするようになりました。最初は目標1時間でしたが、慣れてくると15分×8回というように、1日に2時間くらいは読書をする時間が見つけられるようになりました。

ですから、どんなに忙しくとも、その気になれば1日2時間くらいは本を読むことができるようになります。その頃からの習慣で、いまも私は15分ずつ本を読んでいます。タイマーを15分でセットし、鳴るまで読む。そうすることで散漫にならずに集中できます。

──しかし、そもそも何から読めばよいか分からないと悩んでいる人は実は多いものです。何かアドバイスはありますか?

「リスト読み」をすることです。読書家として信頼のおける知識人が編んだ選書リストが、多数出版されています。何も考えず、それに倣って本を読んでいけばいい。

しかし、どの選書リストに従うかは、きわめて重要です。リストはできるだけ古典的なものがよいでしょう。誰もがタイトルや著者名を知っているスタンダードな名著が並ぶ、権威主義的なリストです。

私が実際に活用してきたリストについては、『百冊で耕す』に書きました。巻末には私が選んだ「百冊選書」も紹介しています。海外文学、日本文学、社会科学/自然科学、詩歌の4ジャンルで選んだので、ぜひ参考にしていただければと思います。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は急反落、一時2000円近く下落 米中摩擦

ビジネス

イオン、26年2月期は13%営業増益見込む 市場予

ビジネス

英GDP、2月は前月比+0.5%・前年比+1.4%

ビジネス

SHEINのロンドン上場、英国が認可 中国の承認待
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が見せた「全力のよろこび」に反響
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 10
    右にも左にもロシア機...米ステルス戦闘機コックピッ…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中