最新記事
ビジネス

「オススメは全部」と言い出すラーメン屋は流行らない...佐藤オオキのブランディングの法則

2022年12月17日(土)11時48分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ラーメン

zepp1969-iStock

<ハンズの新しいロゴデザインを手がけたことで話題になった、「nendo」代表でデザイナーの佐藤オオキ。ブランディングで大切な「信頼」をさらに強固にする方法について>

東京オリンピックの聖火台とハンズの新しいロゴのデザイン、そして2025年大阪・関西万博日本館の総合プロデューサーとして活躍する、「nendo」代表でデザイナーの佐藤オオキ。

その佐藤のブランディングにおける基本の考え方は、「ブランド=信頼」。実はその「信頼感」をさらに確固たるものにするために佐藤が大事にしている法則がある。それは「おススメのメニューは1つの方がいい」「1日〇〇食限定」「スープが終わり次第閉店」など、「ラーメン屋さんの法則」だ。

「おススメ」は絞り込まれている方が店のポジショニングが明確になり、「希少性」が加わることで、更なる期待感が生まれるという。これらの法則をビジネスにどのように活かしていくのか? 『半径50メートルのセカイ 超日常的アイデア発見法』(CCCメディアハウス刊)より抜粋する。

◇ ◇ ◇


以前と比べて、経営者の口から「ブランド力」「ブランドイメージ」「ブランド価値」といった言葉を聞く機会が増えたように思います。機能や品質の時代を経て、価格競争も一段落。商品力と価格がほぼ互角な状況が増え、今度はブランド力による差別化が必要になる、というわけです。

そもそも「ブランド」とは何でしょうか。

従来は、その対象がアパレルや宝飾品、高級車などの高価格帯の嗜好品に限定されたような使われ方が主でしたが、実際のところ、近所の八百屋さんでもブランディングは活用できます。

では、ブランド力の高い八百屋と、そうではない八百屋はどのようにして見分けるか。それは「わざわざ信号を渡ってでも行きたい八百屋かどうか」ではないでしょうか。

近くに似たようなものがあるにもかかわらず、ひと手間かけてでもそちらを選ぶ動機があることが、ブランド力のある状態といえるのです。

これをさらに言い換えると(ややウェットな響きではありますが......)「ブランド=信頼」なのです。あそこに行けば必ず欲しいものがある。あそこで買えば絶対に失敗しないという、お客さんとの間に形成されている信頼関係に他なりません。

では、企業がこうした「信頼」を獲得するには何が必要かというと、お客さんとのあらゆるタッチポイントにおいてその企業「らしさ」があるかどうか、だと考えています。どこをどう切り取ってもブレがなく、一貫したキャラクター性を維持していることが重要なのです。これが単純なことのようでいて、案外難しい。



  『半径50メートルのセカイ 超日常的アイデア発見法
  佐藤オオキ[著]
  CCCメディアハウス[刊]


 (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は急反落、一時2000円近く下落 米中摩擦

ビジネス

イオン、26年2月期は13%営業増益見込む 市場予

ビジネス

英GDP、2月は前月比+0.5%・前年比+1.4%

ビジネス

SHEINのロンドン上場、英国が認可 中国の承認待
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が見せた「全力のよろこび」に反響
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 10
    右にも左にもロシア機...米ステルス戦闘機コックピッ…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中