コラム

「We apologize for the trouble and inconvenience」工事のお知らせなどで見つけた妙な英語

2019年10月17日(木)11時25分

以上のことから、ここではWe are planning to have the signboards on the roof painted on the following dates.と言うのが適切です。さらに言えば、planningの代わりにare going to beを使えばもっと自然です:The signboards on the roof are going to be painted on the following dates.

その次の文では、「Painting smell will be」よりThere is going to be smell from the paint やThere is going to be paint smellのほうがいいでしょう。なお、「works」はこの場合、正しい表現ではありません。「作業」の意味で使う場合、workは不可算名詞なので、複数形にしません。sが付くworksは、名詞で「工場」を意味します。話を戻すと、ここでは最も自然な言い方として、You may notice some paint smells.(塗料の臭いを感じるかもしれません)をお勧めしたいと思います。

最後の文の「involve you in a trouble」は「問題に巻き込む」という意味になるので、この場合には強過ぎます。We apologize for the inconvenience and thank you for your understanding.と言うのもありですし、上記で紹介したThank you, in advance, for your patience.も良いのではないかと思います。

文脈から推測できても、「どこに置かないほうがいいか」具体的に明記を

●Notice: Concerning Occurrence of Dew Condensation

Thank you so much for staying with us.
In current days due to drastic change in temperature and also difference in temperature between inside and outside of building has resulted in rise of condensation day by day, particularly in windows.

This might continue throughout all winter,
However, we are trying to reduce it as far as possible.

We kindly request our guest not to put any luggage or electronic devices or related things that may get damaged or harmed due to due and moisture.

We apologize for the trouble and inconvenience caused to our guest.
Along with, We kindly appreciate your kind co-operation.

これは東京のホテルで、1月に見つけました。意味は大体通じるのでそれほど悪くはないのですが、細かい部分で間違いが見られるのでここで取り上げます。

まず、見出しはそのままで大丈夫だと思います。

最初の文は日本的な挨拶文と同じ役割のものとして良いと思います。「so much」は少しカジュアルなので、very muchと変えるほうがいいでしょう。

2番目の文ですが、「In current days」より、recentlyのほうが自然だと思います。また「change」と「difference」は複数形であるべきです。そして「rise」よりincreaseのほうが自然です。また、この文にはtheやaが複数抜けています。

その次、2段落目の「throughout all winter」は、all winterあるいはthe entire winterのほうが自然です。

3段落目及び最後の文のkindlyは、間違った使い方をされています。「優しく」という意味のこの副詞は、丁寧な表現の時に自分の行動に対して使われることはありません。もしここで何らかの副詞を使うのであれば、sincerelyのほうが望ましいと思います。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 北九州市立大学英米学科グローバルビジネスプログラム教授。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『英語の品格』(共著)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著)など著書多数。最新刊は『マンガでわかる外国人との働き方』(共著)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 6
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story