コラム

「We apologize for the trouble and inconvenience」工事のお知らせなどで見つけた妙な英語

2019年10月17日(木)11時25分

次の文に行きましょう。「You may have some noise」と書いてありますが、haveとnoiseは普通組み合わせることはありません。この場合、You may experience some noiseのほうがいいでしょう。どんな動詞とどんな名詞を組み合わせるのが自然なのか、ネットで例文等を見て調べてみることをお勧めします。

その次の文では、最初に「We apologize for this inconvenient」とあります。inconvenientは形容詞であり、ここには名詞が来る必要があるので、正しくありません。We apologize for this inconvenienceとしましょう。

その後、「greatly appreciate for your understanding」がありますが、このforは必要ないため削るべきでしょう。なお、ツイッターで@yoheiyamさんからの提案にありましたが、この文の代わりにThank you, in advance, for your patience.とすれば、より良い印象を与えられます。

日本語では謝る言葉をたくさん使用しますが、英語では謝る言葉はそこまで多く使わないので、英語で謝り過ぎると不自然に聞こえてしまいます。

英語ではget to the pointが評価され、前置きの言葉はあまり使われない

●The announcement for painting work of roof signboards

Thank you very much for your kindly attention to us.

We are planning to have the painting work of the roof signboards as following dates.

Painting smell will be during this works. We apologize to involve you in a trouble and we would appreciate your kind cooperation.

このお知らせは外国人も多く住んでいるマンションにありました。

まずは見出しですが、forとofが正しく使われていないため、全体がぎくしゃくしています。私なら、Announcementだけを最初の行に置き、その一つ下の行にRoof Signboard Paintingと書きます。日本語版にある「工事」に相当するworkはこの場合必要ありません。Paintingと言うだけで何の作業が行われるかは十分把握できるからです。

最初の文は日本式の礼儀ですが、英語ではget to the point(早速要点に入る)ことが評価されるので、そのような前置きの言葉はあまり使われません。そのため、実はこの文は削ってしまっていいでしょう。

もしどうしても何かを言いたいのだとしても、your kindly attention to usは奇妙に聞こえるのでお勧めできません。曖昧な表現よりは、内容を紹介するような言葉がいいでしょう。例えばWe would like to give you advance notice of some upcoming maintenance work in the building.(これからこのビルで行われるメンテナンスに関し、前もってお知らせいたします)がいいのではないかと思います。

次の文を見ると、「planning to have」となっていますが、planningだけにするか、もしくはto haveの後に過去分詞を入れるか、どちらかが必要となってきます。なお、「painting work of the roof signboards」となっていますが、ここにもworkは必要ありませんし、of theを使うよりも語句の順番を変えたほうがいいと思います。「as following dates」という言い方も適切ではありません。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 北九州市立大学英米学科グローバルビジネスプログラム教授。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『英語の品格』(共著)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著)など著書多数。最新刊は『マンガでわかる外国人との働き方』(共著)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story