コラム

「We apologize for the trouble and inconvenience」工事のお知らせなどで見つけた妙な英語

2019年10月17日(木)11時25分

shih-wei-iStock.

<ホテルなどで、何らかの臨時的な伝達事項を英語で書かなければならない時がある。しかし残念ながら、そういったお知らせの文章には英語の間違いが多く見られる。どこが不自然なのか、どう変更すれば誤解を生まずに済むのか>

この連載の第1回では、日本のホテルにある案内文や説明文に見られる妙な英語の例をいくつか紹介しました(「We are so sorry for the inconvenience」日本のホテルで見つけた妙な英語)。

それらの文章には一度作ると終わりというものも多いですが、状況の変化に合わせて宿泊客に臨時のお知らせをする必要性も時にはあるでしょう。その時、外国人宿泊者向けにもお知らせの英語版を用意することが大切です。

私が今までに泊まった日本のホテルは、そういった臨時のお知らせを親切にも英語で表示してくれていました。しかし、その中には望ましくない英語表現も見られました。

間違った英語を長期にわたり掲示するのは弊害が大きいため、ずっと使う案内文・説明文であれば、誰かに事前にチェックしてもらうケースが少なくないと思います。逆に、臨時のお知らせなど一時的に使う文章の場合、そこまで手間をかけないところもあるのではないでしょうか。

そのため、こういったお知らせ文は日本人が英語でよく間違えるポイントを凝縮していると言ってもいいでしょう。その意味で、良い勉強の材料になると思います。

皆様にとって参考になれば嬉しく思います。

日本語には謝る言葉が多いが、英語では謝り過ぎると不自然になる

●NOTICE

Thank you for staying at (hotel name).

We would like to inform you that a new building is constructed in west side of our hotel as following schedule.

You may have some noise and vibration due to the construction.

We apologize for this inconvenient and greatly appreciate for your understanding.

※The schedule is subject to change without notice.

このお知らせには複数の英語の問題がありますので、一つずつ見ていきましょう。

まず、最初の文に「a new building is constructed」と書いてありますが、その言い方だと建設が終了したという意味になるので、この時の状況に合っていません。そのため、beingを入れてa new building is being constructedにしたほうがいいでしょう。これで現在進行形になるので、現在行われているビル建築の工事はこれからも続くという意味になります。なお、ツイッターで@the5y22sanさんが指摘してくれたように、a new building is under constructionと言えばもっと自然な英語になります。

同じ最初の文に「in west side」と書かれていますが、inだと「中に入っている」という意味なので、ここでは適切ではありません。さらに、特定の場所なのでtheが必要です。よって、ここではon the west sideにするのが望ましいでしょう。

続いて、「as following schedule」とありますが、この場合はasよりonのほうが適切で、さらにtheも必要なのでon the following scheduleとなります。前置詞やtheの使い方に注意しましょう。なお、ツイッターで@JojiMatsuoさんが提案してくれたように、as per the following scheduleにすればもっと自然な表現になります。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 北九州市立大学英米学科グローバルビジネスプログラム教授。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『英語の品格』(共著)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著)など著書多数。最新刊は『マンガでわかる外国人との働き方』(共著)。

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