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トランプの同盟軽視が招いた「グリーンランド買収」をめぐるゴタゴタ
3番目は、同盟国との外交の軽視という傾向です。トランプ外交というのは、「アメリカ・ファースト」が軸ですが、とりわけアメリカの中核的な同盟国であるNATOやその他のG7諸国に対して関係悪化も辞さないという姿勢があるわけです。
コスト的に「アメリカが持ち出しになっている」として費用負担を迫るとか、共通合意であった対イラン核合意をひっくり返すなど、まるで「西側同盟を崩す方向」で動いているわけですが、今回の発言で9月のデンマーク公式訪問が潰れただけでなく、アメリカとデンマークの関係が著しく悪化したわけで、まさにこの「アメリカ・ファースト」が悪い形で出たと言えます。
いずれにしても、アメリカとデンマークとの間には、特別に問題はありませんでした。設立時からNATOメンバーであるデンマークはISAF(国際治安支援部隊)に参加する形で、アフガニスタンに派兵しています。40人を超える犠牲も出していますが、テロとの戦いのためには必要な国策と位置付けて取り組んできています。
そんな良好な関係が、一言で崩壊してしまうのですから恐ろしいことです。本稿の時点でトランプ大統領は、デンマークのフレデリクセン首相に対して「ノーならノーとだけ言えばいいのに、バカげた(absurd)考えだなどと言う言い方をしたのは、底意地が悪い(nasty)な女だ」と激しく罵倒しています。
このニュースと前後して、トランプ大統領は「民主党に投票するユダヤ系は、イスラエルへの忠誠心が疑われても仕方がない」という発言が、穏健ユダヤ系を中心に激しい憤激を買っています。この問題とグリーンランド騒動の相乗効果で、反対派だけでなく中道層からも大統領への冷ややかな反応が出てきているのです。
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