日本にかつてあった「専売」、その歴史を辿る知的空間へ
なお、塩作りを科学する「塩のサイエンス」コーナーでは、結晶化の過程をはじめ、大きさや形状が異なる理由などがわかりやすく解説されており、子供も楽しみながら塩の世界を学ぶことができる。
実は豊富な1800点の浮世絵コレクション
たばこと塩エリア双方に共通する展示品がある。浮世絵だ。これは同館におけるメインの収蔵品であり、肉筆と版画を合わせ約1800点もの浮世絵をはじめとする絵画資料を収蔵する。
たばこ常設展示室には浮世絵を紹介するエリアがあり、キセルによる喫煙風景やたばこ盆、懐中たばこ入れなどが描かれた作品が。塩浜の様子が描かれた作品が展示されることもある(展示は随時入れ替え)。また、収蔵品のなかには喜多川歌麿が人気の花魁を描いた「花扇」や、東洲斎写楽が四代目松本幸四郎演じる肴屋五郎兵衛を描いた「敵討乗合噺」など、いずれも常設展示ができないが、文化的にも非常に価値のある作品も収蔵されている。
たばこ、塩の両エリアともに充実かつユニークな展示品で楽しませる「たばこと塩の博物館」。"専売"という政策が存在したからこそ実現した組み合わせであり、また、それゆえにここまで充実した展示品を収蔵できたということは間違いない。この秋、専売制度がもたらした歴史の歩みと文化の発展を辿ってみてはいかがだろう。
たばこと塩の博物館
住所:東京都墨田区横川1-16-3
開館時間:10~18時
休館日:月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
入館料:大人・大学生100円 ※展覧会によって特別料金の場合あり
TEL:03-3622-8801
https://www.jti.co.jp/Culture/museum