ファーストリテ、通期最高益に上方修正 北米は関税などで下期減益

4月10日 ファーストリテイリングは10日、2025年8月期の連結業績見通し(国際会計基準)を上方修正し、営業利益の予想を5300億円から前年比8.8%増の5450億円へ引き上げた。写真は2023年1月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
[東京 10日 ロイター] - ファーストリテイリングは10日、2025年8月期の連結営業利益見通し(国際会計基準)を5300億円から前年比8.8%増の5450億円へ上方修正した。上期に国内、欧州のユニクロ事業が計画を上振れた。最高益を予想するものの、北米については米関税の影響を織り込んだほか、昨年一時的に計上した戻し入れ益がないことから、下期に約2割の減益を見込む。
IBESがまとめたアナリスト18人の予想平均値5391億円を上回った。
純利益も3850億円から同10.2%増の4100億円へ上方修正し、期末配当予想を1株225円から240円(前年同期は225円)へ増額した。
同社はベトナムなど東南アジアで主に生産し、輸出している。米関税の影響は、売上高から原価と販管費を差し引いた下期の事業利益に2─3%程度と試算する。トランプ政権が2日に発表した相互関税の税率がすべて適用されるとともに、下期に値上げをしないと仮定した。下期の同利益予想をこの日約100億円減額しており、関税の影響が大きいという。
柳井正会長は決算会見で「今の国際情勢から考えて(関税は)無理がある。たぶん続かない」と語った。「生産地はいくらでも変更できる」とも述べ、同社が掲げる売上高目標5兆円、10兆円の達成は可能との見方を示した。
岡崎健・最高財務責任者(CFO)によると、下期はすでに相当量の商品を米国へ輸出済み。同CFOは「来年度以降は情勢を見極めて適切に対応する」と語った。
低迷してきた中国大陸のユニクロ事業は下期に若干の増収増益を見込む。通期では減収減益を予想する。
上期(24年9月ー25年2月)の営業利益は前年同期比18.3%増の3042億円と過去最高だった。通期予想に対する進ちょく率は55.8%。国内、北米、欧州、東南アジアなどでユニクロ事業が好調に推移した。中国大陸は約11%の減益だった。