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元・中国人の選挙映画『選挙に出たい』が日本人にウケた理由
前述したとおり、民主党系候補同士で縄張りを分け合うというエピソードでは皆が新鮮な驚きを感じていたようだし、ある政党から「民主党はやめてうちの公認候補になってくれませんか」と打診されたとき、「そんなことできないよ」と即答し、その後「(ヤクザから学んだ)仁義を通してきたのに、裏切れるわけがない」と振り返るシーンでは、映画館全体が爆笑に包まれた。
また、公約作りで「**を解決します」と私が書こうとしたところ、師匠である海江田万里さん(当時、民主党党首)から「解決するじゃなくて、解決を目指しますと(書くほうがいい)」と指導が入ったシーンもバカ受けだった。「解決する」と書けば、達成できなかったときに問題になるが、目指すだけならば責任は問われない。政治文学と言えばいいのだろうか、政治家ならではの細かな表現方法があることを描いたシーンだ。
山形国際ドキュメンタリー映画祭も民主主義のイベント
私は2年前に日本国籍を取得したばかり。民主主義にいち早く慣れるため必死に勉強して、選挙に出馬した。日本人なら誰でも知っていることを学んだつもりだったが、それは私の勘違いだったようだ。一般市民ならば投票した経験がある人が多数を占める(と願っている)が、選挙についてそれ以上に詳しい知識は持ち合わせていなかったのだ。むしろ必死に勉強した私のほうがよっぽど詳しい。
選挙について知りたい方は、ぜひ私がオーナーを勤める新宿歌舞伎町の湖南菜館を訪ねてほしい。私の持っている知識はいつでも惜しみなく伝授しよう。
それにしても、世界的に有名な山形国際ドキュメンタリー映画祭で私の作品が公開されたことは本当に嬉しかった。映画好きの方には常識だろうが、「山形」はすでに世界的なブランドと言っても過言ではない。アジアの優秀な作品が多数公開される、注目の映画祭なのだ。
中国も今や映画ブームが到来しているが、なにせ検閲が厳しい。本当に面白いドキュメンタリーはまず十中八九公開できないと考えて間違いない。どんな作品でも面白ければ上映できる。日本の民主主義の強さを体感できるイベントでもあるのだ。
【参考記事】選挙に落ちたら、貿易会社の社長になれた話
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