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園児バス置き去り死とその報道に見る、「注意不足」のせいにする危うさ
4 日本のドラマや映画には、見るからに異常という犯罪者がしばしば登場する(犯罪原因論)。しかし海外のドラマや映画では、「機会の連鎖の結果が犯罪」というリアリティが的確に描かれている(犯罪機会論)。
5 イギリスの「犯罪及び秩序違反法」は、地方自治体に対して、犯罪防止に配慮して各種施策を実施する義務を課している。自治体がこの義務に違反した場合には、自治体が被害者から訴えられる可能性がある。例えば、犯罪機会論を無視して設計された公園で事件が起きた場合、莫大な賠償金を支払うことになるかもしれない。
6 交通事故の防止に有効とされる手法にハンプ(英語で「こぶ」の意)がある。車の減速を促す路面の盛り上がりで、通過する車は嫌でもスピードを落とさざるを得ない(入りにくい場所)。世界中で当たり前に設置されているが、日本では普及が進んでいない。
7 プールは「入りやすく見えにくい場所」である。かつて「水中の格闘技」と呼ばれる水球でも、水面下で相手の水着を引っ張ったり、つかんだりといった反則が横行していた。そこで、水の透明度を高める化学薬品を採用し、以前より水中を見通せるようにした。
8 海外のトイレでは、日本と異なり、男女別の身体障害者用トイレを設置したり、男女それぞれのトイレの中に障害者用個室を設けたりしている。男性用トイレの入り口と女性用トイレの入り口を左右にかなり離したり、建物の表側と裏側に設けたりすることも珍しくない(入りにくい場所)。
9 日本の公園では、犯罪機会論の基本である「ゾーニング(すみ分け)」が進んでおらず、「みんなの公園」という意識が強い。海外の公園では、子ども向けエリアと大人向けエリアを、フェンスやカラーで明確にゾーニングし、遊具は子ども向けエリアに、樹木は大人向けエリアに集中させている(入りにくく見えやすい場所)。
10 警察の警備において、犯罪機会論が基本理論になっていない。つまり、「ゾーニング」や「多層防御」の戦略や戦術が乏しい。その結果起きたのが、安倍元首相銃撃事件だ。暗殺が実行されたのは、そこが「入りやすく見えにくい場所」だったからである。
防げる事故や事件は、確実に防いでいきたい。それが、犠牲になった子どもへの、せめてもの供養である。
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