- HOME
- コラム
- 犯人目線で見る世界 ダークサイドの社会学
- 園児バス置き去り死とその報道に見る、「注意不足」の…
園児バス置き去り死とその報道に見る、「注意不足」のせいにする危うさ
事件や事故が起きやすいのは「入りやすく見えにくい場所」(写真はイメージです) loveshiba-iStock
<多くの事故や事件は発生確率が高い状況で起こっている。「運が悪かった」「注意するから大丈夫」で片付けず、再発を防ぐために知っておくべきこと>
今月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で、女児がバスで登園後、5時間にわたり車内に置き去りにされ、熱中症で亡くなった。この「置き去り死」をめぐって報道が過熱したが、そのほとんどは「人」に注目する「犯罪原因論」である。悪者を懲らしめたい気持ちは理解できる。しかし残念ながら、それだけでは再発は防げない。
人は絶えず注意することはできない。人はロボットと異なり、「注意モード」と「不注意モード」を行ったり来たりしている。問題は、注意すべきときにどうすれば注意できるかである。
「注意モード」をオンにする確実な方法は、キュー(開始の合図)を出すことだ。その方法を開発してきたのが「デザイン」に注目する「犯罪機会論」である。「人はミスをする」を前提にして、安全確保の「持続可能性」を高める手法だ。
「犯罪機会論」によって、事件や事故が起きやすい場所は「入りやすく見えにくい場所」であることが、すでに分かっている。
例えば、静岡の認定こども園の「置き去り死」では、「バスは車体全面にデザインが施され、外から車内の様子が確認しづらいつくりだった」(日本経済新聞)ことが指摘されている。バス内を「見えにくい場所」にしていたのだ。
読売新聞によると、幼稚園側は、バスの窓がイラストで覆われて外から車内が見えにくい不備を認めているという。朝日新聞は、「せめて普通の窓だったら、異常に気がつく可能性もあったかもしれない」という隣家の住人の声を伝えている。
つまり、ちょっとした配慮で防げた「置き去り死」である。弱い立場の子どもと接する人にとって、最優先であるはずの安全がないがしろにされていたのだ。なぜ、「手抜き」が放置されていても、気にならないのだろうか。
「注意するから大丈夫」の危うさ
そういえば、大阪教育大付属池田小事件も、門が閉まっていたら起きていなかったかもしれない。犯人は法廷で「門が閉まっていたら乗り越えてまで入ろうとは思わなかった」と述べている。
「がんばれば大丈夫」という精神論が強いせいなのだろうか、科学で安全を守る「犯罪機会論」が低調だ。そのため、「置き去り死」をもたらした通園バスのような、「犯罪機会論」に反するデザインは、日本の至る所で見られる。
例えば、アメリカ生まれのコンビニは、元々、アメリカでの犯罪実態の調査を踏まえて、全面ガラス張りの広い窓というデザインを採用した。「見えやすい場所」にしたわけだ。しかし、日本に輸入されると、窓ガラスに大きなポスターが貼られ、「見えにくい場所」になってしまった。これでは、店内では万引きや強盗が起きやすくなり、店の外では車両荒らしや誘拐がしやすくなってしまう。
不法投棄に落書き...凶悪事件の現場に見る「割れ窓理論」の重要性 2024.12.10
本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベースカバーに走らなかった理由を考察 2024.11.12
日本に「パワハラ」や「クレイマー」がはびこる理由 2024.10.15
弱体化が続く町内会・自治会と地域防犯の切っても切れない関係 2024.09.12
「危険ドラッグ」の呼称が注意喚起になっていない理由 2024.08.07
埒が明かない学歴詐称問題...相互に関連し合い、一貫性もある「留学記録」を議論の出発点に 2024.07.04
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員