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衆院選の勝敗と菅首相の去就を左右する秋の政局「3つのシナリオ」
二階幹事長の去就と「シナリオC」
自民党全体で旧来の秩序が変動している中、最も注目されているのが二階俊博幹事長(帥水会)の去就だ。前回の総裁選で先手を打って支持を表明し「菅圧勝」の立役者となり、自民党幹事長として歴代最長在任記録を更新中の二階氏だが、総裁選を契機とする政治力学の変化と結果次第では幹事長退任となる可能性がある。大島理森衆議院議長は既に引退を表明しており、後継議長に細田博之氏(清和研)を押す声もある。定数見直しで二階氏の地元である和歌山県の衆議院小選挙区の定数も現状の3から2に減る。そのような中で、衆議院議長ならまだしも党副総裁などの実質的な「名誉職」に就くことを二階氏が受け入れるかは不明だ。
そこで、こうした諸々の不確定要素が考慮された結果、少なくとも総選挙の日程を出来る限り後ろ倒しにする選択肢がにわかに存在感を増している(シナリオC)。時間があればあるだけワクチン接種状況は改善し、臨時国会で経済対策の補正予算を成立させた上で総選挙に臨むという「王道パターン」を取ることができる。衆議院議員の任期満了は10月21日だが、任期満了当日に臨時国会を解散し、解散日から40日以内に総選挙を行えば憲法・公選法的に問題はない。その場合11月30日がデッドラインとなり、投開票日としては11月21日または28日が候補日程となろう。このシナリオだと、総裁選日程を9月中に済ませることも、コロナ感染拡大等の特段の事情があるという理由で総裁選を後ろ倒しすることも、ともに対応できる。
果たしていずれのシナリオが実現するか。9月1日に発足するデジタル庁事務方トップ(デジタル監)人事の適性問題や、太陽光発電関連会社「テクノシステム」に関わる東京地検特捜部の捜査など不確定要素は他にもあるが、なんと言っても重要なのは、菅首相のお膝元で8月22日に投開票される横浜市長選挙の結果だ。勝つか負けるか、僅差か大差か。野党候補の優勢も伝えられるが、その結果がシナリオ選択の帰趨を左右することになるだろう。
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