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なぜマクドナルドはウクライナ人の心を鷲掴みにする? 営業再開店には、空襲警報が鳴り響く日にも長蛇の列
グローバル化の時代は完全に幕を閉じた
ウクライナ戦争でポスト冷戦による「平和の配当」と権威主義国家の中国やロシアを巻き込んだグローバル化の時代が完全に幕を閉じたのは間違いない。グローバル化は勝者だけでなく敗者を大量に生み出してしまった。中国は最大の勝者になった反面、ロシアやウクライナ、米国や英国の工場労働者は惨めな敗者になった。
膨大な貿易赤字に苦しむ米国でトランプ現象が起き、英国が欧州連合(EU)から離脱したのはその現れだ。今回の戦争の背景には、埋めきれないほど開いてしまった貧富の格差が横たわる。フリードマン氏の「黄金のM型アーチ理論」は死んだのか。経済関係の促進が平和をもたらすという理論はフリードマン氏のはるか以前から唱えられている。
敗戦後、日本は米国の自由と民主主義を受け入れることで高度経済成長を遂げ、両国は固い絆で結ばれた同盟国になった。欧州は戦争の火種になってきた石炭と鉄鋼の共同市場をつくり、EUという平和と繁栄の礎を築き上げた。しかし今回、戦争を回避するには経済だけでなく政治的・社会的な統合が不可欠なことを浮き彫りにした。
マクドナルドは当初、ウクライナでは戦争が終わるまで営業は再開しない方針だった。しかし今や店舗再開は「日常化の象徴」となった。クリヴィー・リフでは5月19日未明、工業企業ビルが攻撃され、64歳の女性と45歳の男性が重軽傷を負った。安全は100%保障されているわけではないものの、「日常化」できるほどの安全は確保されている。
ウクライナの人々にとってマクドナルドは頼もしい米国の象徴だ。しかし、フリードマン氏が唱えたようにマクドナルドが再びウクライナとロシアの「平和の象徴」になる日は戻ってくるのだろうか。