日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること ──(3)情報公開
また、1月20日に韓国で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、疾病管理本部の本部長や副本部長は、国内の感染者状況などについて毎日ブリーフィングを行っており、国民はYouTubeを通してブリーフィングの内容を確認することができる。ブリーフィングを行う疾病管理本部のチョン・ウンギョン本部長や、クォン・ジュヌク副本部長(国立保健研究院長)は交代(メインは本部長)で新型コロナウイルスの現状について丁寧に説明をしており、国民の安心感を高めるのに重要な役割を果たした。チョン・ウンギョン本部長や、クォン・ジュヌク副本部長は、それぞれ予防医学や保健医学の博士号を持っている医療や感染症に関する専門家でもある。
スマホから感染経路を把握
韓国政府は、感染拡大を防止するために感染者の感染経路や自己隔離中の移動経路に関する情報を国民に提供した。韓国政府は、感染が確認された場合、感染者のスマートフォンやクレジットカードの使用履歴、監視カメラなどの情報などを用いて感染されるまでの感染経路を把握し、公開している。また、自治体の疫学調査チームは感染が確認された人と接触した可能性がある人の移動経路を調べて個人別に連絡をし、発熱などの症状がある場合にはPCR検査を、無症状の場合には自己隔離対象者として指定し、自宅等で2週間自己隔離をさせている。
先日、韓国の疾病管理本部に電話をして確認した所、最近はスマートフォンが普及し、さらに韓国では現金よりクレジットカードの使用が一般的なので個人の位置情報を把握することはそれほど難しくないそうだ。経済産業省が2018年に公開した報告書によると、韓国のキャッシュレス決済比率は89.1%で他の国の数値を大きく上回っている。
各国のキャッシュレス決済比率の状況(2015年)
さらに、4月1日からは全ての入国者に2週間の自己隔離を義務化している。入国者は入国審査場の手前に掲示されたQRコードをスマートフォンで読み込み、「自己隔離者安全保護」アプリをインストールしなければならない。症状がある人は空港に設置されている検査場所でPCR検査を受け、無症状の人は自宅に帰宅(韓国に隔離のための居住地などがない場合は韓国政府が準備した施設を隔離場所として利用、有料)してから新型コロナウイルスの検査(入国後24時間以内)を受けるように伝えている。入国してから14日間の自己隔離中は毎日体温などを自ら図り、専用アプリに報告する義務がある。自己隔離対象者が隔離場所から離脱した場合、スマートフォンにインストールされているアプリの位置情報システム(GPS)から警報音が鳴らされる。また、自己隔離対象者が自己隔離を違反した場合には1年以下の懲役または1,000万ウォン以下の罰金が科せられる。
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