韓国で1日あたりの新規感染者数が60万人を超えた理由
大統領選当日の新規感染者は34万2430人と過去最高を記録した(写真は野党候補・尹錫悦の支持者たち)Kim Hong-Ji-REUTERS
<かつて韓国が誇った「K防疫」が破綻し、文在寅政権の任期も残り1カ月となった。新政権はどんな新型コロナ対策を推進していくのか注目される>
韓国で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。2022年1月に初めて1万人を超えた1日あたりの新規感染者数は、2月19日には10万人、3月2日には20万人を超え、3月17日は621,197人と過去最高を記録した。この日の韓国の新規感染者数を韓国と日本の人口比(2020年基準で日本の人口は韓国の約2.43倍)で単純に計算すると、日本で1日に約150万人が感染したことになる。韓国の感染者数がいくら多いかが分かる。韓国の累計感染者数は2022年1月末以降感染者が爆発的に増加し、3月28日時点で1,200万人を突破した。
韓国における1日あたりの新規感染者数
筆者は2021年末に日本より韓国で新型コロナウイルスの新規感染者数が多かった理由として、韓国では新型コロナワクチンの1次接種者のうち、アストラゼネカ社製のワクチンの接種者が多いこと、韓国政府が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために続けてきた厳しい行動制限を大きく緩和したこと、韓国の気温が日本より低いこと等を挙げた(「韓国の新規感染者数が初の4000人超え。日本とは何が違うのか?」)。
では、2022年1月末以降に韓国で感染が爆発的に増え続けたのはなぜだろうか。韓国政府は1日あたりの新規感染者数が60万人を超えた3月17日に行われたブリーフィングで、1日あたりの新規感染者数が前日(16日)より20万人も増加した理由について、「専門家用迅速抗原検査」で陽性が確認された人を感染者に認めたことにより「隠れ感染者」が新規感染者に多く含まれたことと、前日に漏れた人を新規感染者としてカウントしたことが原因で新規感染者が大きく増加した」と報告した。
実際、韓国政府は感染拡大によりPCR検査が急増し、検査の処理等が限界に達すると、3月14日からPCR検査に加え、地域の病院や医院等専門機関での迅速抗原検査の陽性者も感染者と見なすように制度を変更した。3月13日までは、迅速抗原検査で陽性となった場合はPCR検査をして、ここで陽性が出た場合に初めて「感染者」として認めていた。最近は市販の抗原検査キットを使って個人自らが検査をする人も増えている。このように検査数が増え、「感染者」の基準が変更されたことが新規感染者数が急増した1番目の原因だと考えられる。
新規感染者数が急増した2番目の原因としては、新型コロナウイルスに対する韓国政府の規制緩和が挙げられる。韓国政府は経済に与える影響を考慮したうえで、「オミクロン株」による重症化率は低いと判断し、飲食店の営業時間の制限を緩和するなどの規制緩和を続けた。韓国政府が最近発表した新型コロナウイルスに対する主な規制緩和措置は次の通りである。
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