韓国で1日あたりの新規感染者数が60万人を超えた理由
・2022年1月28日:2月4日から入国者に対する防疫体制を一部変更すると発表 :
海外からの入国者に対する隔離措置期間を10日間から7日間に短縮、南アフリカ共和国など11カ国の防疫強化国の指定を解除。
・2022年2月28日:「防疫パス(ワクチン接種証明)」の運用を一時中断 : 飲食店やカフェなど不特定多数が利用する11種の施設を利用する際に提示が義務付けられている「防疫パス(ワクチン接種証明)」の運用を3月1日から一時中断すると発表。
・2022年3月4日:新型コロナウイルス対策の社会的距離確保の追加緩和措置を発表:遊興施設や食堂・カフェ、カラオケ、映画館・公演場などの営業時間を従前の午後10時までから午後11時まで1時間延長。3月5日から3月20日まで適用。
・2022年3月11日:海外からの入国者のうちワクチン接種完了者に対する隔離免除を3月21日から実施すると発表:隔離免除の対象者は、WHO緊急承認ワクチンの予防接種完了基準によって、(1)2回目のワクチン(ヤンセンは1回)を接種後してから14日を経過し、180日以内の人、(2)3回目のワクチン接種を完了した人。 4月1日以降は海外で接種し、接種履歴を国内で登録していない人も対象。また、4月1日から全ての海外からの入国者は、移動する際に公共交通機関が利用可能。
・2022年3月18日:私的な集まりの人数制限を緩和すると発表:6人までに制限していた私的な集まりを、3月21日からは最大8人に緩和すると発表。
3番目の原因としては、3月9日に行われた第20代大統領選挙の前に人が集まる機会が増えたことが挙げられる。韓国では2月15日から3月8日までの22日間選挙運動が行われ、国中で「密」な状態の集会が連日行われた。実際、2月15日に5万人前後であった1日あたりの新規感染者数は2月16日には9万人、2月18日は10万人を超えて増え続け、大統領選挙が行われた3月9日には342,430人で過去最高を更新した。
最後に4番目の原因として挙げられるのが「気の緩み」だ。韓国政府がオミクロン株による感染は比較的に重症化率や致死率が低いと発表したうえで、防疫対策の緩和を進めた影響等により、人々の間で「気の緩み」が広がった。さらに、感染者の急増により韓国政府が誇っていた「K防疫」の隔離措置が機能できなくなった。2月15日には新型コロナウイルスに感染した70代の男性が在宅治療中にチムジルバン(サウナ)で倒れ、その後死亡する事件も起きた。
上述した内容が最近韓国で新規感染者数が急増している主な要因だと考えられる。韓国の文化体育観光部は2021年12月にパンフレット『大韓民国 危機を越えて先進国へ』を発行し、「K防疫」の成果を誇った。しかし、その後感染が拡大し、3月末時点で国民の2割以上が新型コロナウイルスに感染したことにより、「K防疫」の成果を語ることは意味がなくなってしまった。大統領の任期まで残り1カ月となった文在寅大統領に「K防疫」の復活や新しい防疫対策を期待することは難しいだろう。5月に誕生する新政権が、今後どのような方法で新型コロナウイルス対策を推進していくのか今後の動向に注目したい。
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