コラム

人間の敵か味方か...グーグル検索を置き換える? 今さら聞けないChatGPTの正体

2023年06月02日(金)15時00分

人間に近い思考回路を持つAIが登場してくれば話は別かもしれないが、現在のように多くの情報を学習し、一定の類推を行うAIが主流であるうちは、私たちの社会がどう情報を扱うのかによって流れは決まってしまうだろう。

AIが生成する内容が、その社会における平均的なレベルでしかない、ということであれば、対話型AIによって画期的な知見を得ることは難しくなる。そうなると、平準化された知的空間に支配される人と、AIを活用して平均以上の知見を獲得する人に分かれてしまい、個人の知的格差を拡大させる結果になるのはほぼ確実である。

社会全体で得られた知見を皆で共有し、個人の生産性を向上させるはずのAIが、社会における分断を加速し、格差を拡大させる作用をもたらすのだとすると、これ以上の皮肉はない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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