人間の敵か味方か...グーグル検索を置き換える? 今さら聞けないChatGPTの正体
グーグルがこれまで行ってきたビジネスやチャットGPTが取り組もうとしているサービスを総合的に考えると、今後、検索エンジンが急速に立場を失い、対話型AIが取って代わるというシナリオが十分に成立し得る。
そうなるとグーグルの時代以上に、マスにおける集合知が重要となり、ネット空間にどのような情報が飛び交っているのかによって私たち人間の行動が支配される新しい時代が到来する。この問題は全世界的な課題ではあるものの、とりわけネット空間の特殊性が指摘される日本の場合、事態は深刻かもしれない。
日本のネット空間を観察すると、特定サイトや特定人物の文言をコピーしたものの比率が高く、ごく一部の人の意見があたかも全体の意見であるかのように見えるケースが少なくない。
少し古い情報だが、総務省が公表した2018年版情報通信白書にネット利用をめぐる興味深い調査結果が掲載されている。同白書によると、日本人によるSNSの利用方法は極端に閲覧に偏っており、自ら情報を発信している人は少ない。
フェイスブックにおいて自ら積極的に情報発信を行っている日本人はわずか5.5%しかおらず、アメリカ(45.7%)、ドイツ(25.9%)、イギリス(34.9%)と比較すると大きな差がついていた。日本ではフェイスブックそのものがあまり普及しておらず、そもそも「利用していない」という人が過半数だが、利用している人の中での発信者の比率という点でも、日本は著しく低い。
他の媒体もほぼ同様で、ツイッターで積極的に発言している人は9%となっておりアメリカの半分程度しかいない。ブログ利用者の中で閲覧のみという人の割合もアメリカの2倍となっていた。
一方で、21年にはツイッター社(当時)に対する情報開示要求は全世界で日本が2年連続で最多となっており、利用者数で首位のアメリカよりも多い。
日本では特定の人がSNSで発信する割合が高く、かつネット上での誹謗中傷が最も多い国ということになる。
日本におけるSNS利用が偏っているのだとすると、ネット空間を飛び交う情報も少数の人によるものということになり、全体像を示していない可能性が高まってくる。AIをいかに管理するのかという問題が、特に日本社会において重要であることがお分かりいただけるだろう。
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