動き始めた年金支給68歳引き上げ論 これから考えるべき人生設計とは
生涯労働を前提に、できるだけ早期にセカンドキャリアを
仮に政府の施策について不本意であったとしても、状況が改善する見込みは限りなく低い。わたしたちはこの現実を大前提に今後のライフプランを組み立てる必要があるだろう。
政府は表だっては説明していないが、政府が考えている新しい年金のあり方は、ズバリ、生涯労働との併用である。今後は可能な限り就労を続け、どうしても就労できなくなった段階で、はじめて年金に頼るという生き方である。
もし年金の支給開始が68歳に引き上げられれば、企業の側からも高齢者の雇用延長といった動きが出てくるだろう。だが生涯労働ということを前提にした場合、現役時代に勤めていた企業に一生面倒を見てもらうというのは現実的に難しい。何歳からに設定するのかは人それぞれだが、どこかしらの段階でセカンドキャリアというものを構築し、それを生涯の仕事にするという生き方を選択する必要がある。
もうひとつのキャリアを構築するというのは簡単な話ではなく、定年が近づいてから行動したのでは遅すぎる。可能なら40代の後半から、次のキャリア構築を意識した行動を取っておくべきだろう。
政府が副業の推奨をスタートしたこともあり、社内規定を見直す動きも増えている。まずは副業に取り組むことで、自分が持っているスキルや知識が、市場でどの程度の価値を生み出すのか、肌感覚で理解するのは大事なことである。
地域コミュニティも重要である。一生涯続けられる仕事は、実はネット上ではなく身近なところに存在している可能性もある。きっかけがないという人は、マンションの管理組合の活動などを通じて、地域の人と顔見知りになるのもよいだろう。
年金に関する議論は、どうしても後ろ向きになってしまいがちだが、状況を憂慮するだけでは問題は解決しない。新しくビジネスをスタートするという前向きな発想が必要である。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される 2024.10.30
【総選挙】自民党と立憲民主党の「経済/外交/政治改革」の政策比較で分かった「異例」の現象 2024.10.18