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まだ終わっていない──ラッカ陥落で始まる「沈黙の内戦」
ラッカで勝利を喜ぶシリア民主軍(SDF)の戦闘員たち Erik De Castro-REUTERS
<10月下旬、シリアの「イスラム国」の都ラッカが陥落。しかし、シリアでは今も内戦が続き、市民が犠牲になり続けている。国際社会の関心が急速にしぼむなか、大きな懸念は――>
シリアでの「イスラム国」(IS)の都ラッカが10月20日、米軍・有志連合の空爆の援護を受けたクルド人主体のシリア民主軍(SDF)によって制圧された。7月にはイラク側のISの都モスルがイラク政府軍によって制圧されており、ISが排除されたことで、シリア内戦に対する国際社会の関心も、日本での関心も、急速にしぼんでいる。
問題が何も解決してないというのもむなしいことだが、今後、国際社会の目が向かなくなることが大きな懸念となるだろう。
ダマスカスの東グータ地区は「安全地帯」のはずだが
SDFによるラッカ制圧宣言の4日後の10月24日、シリアの人権組織「シリア人権ネットワーク」(SNHR)が「ダマスカスの東グータの包囲は集団的懲罰」とする報告書を発表した。
首都ダマスカスの東側、反体制勢力が支配する東グータ地区で2012年10月にアサド政権軍による部分的包囲が始まり、2013年10月からは全面的な包囲となったという。包囲の中でも、食料や医薬品は秘密裏に持ち込まれていたが、2017年3月以来、政権軍が完全封鎖を行った。
SNHRの報告書は、「地域にいる35万人はほとんどが民間人であり、子供の粉ミルクなど基本的な食料品の欠乏状態を招いている」とする。SNHRの集計によると、2012年10月22日から2017年10月22日までの5年間の包囲で、「子供206人、女性67人を含む計397人が食料や医薬品の不足が原因で死亡している」という。
このような包囲による悲惨な状況は、「数百件にものぼる虐殺に加えて、住宅地域への無差別で意識的な砲撃による数千カ所の民間住宅・民間施設の破壊によって起こっている」としている。
報告書では、東グータ地区が2017年7月に反体制勢力とロシアの間で合意された「安全地帯(de-escalation zone)」を設置する4カ所の1つであり、食料や医薬品の搬入も認められたが、「合意以来、これまでにトラックによる物資搬入は4回だけで、住民の必要量の25%しか満たしていない」と指摘。
加えて、「安全地帯を創設するという合意にもかかわらず、シリア軍とロシア軍は民間地域への攻撃を続け、殺戮と破壊の戦略は終わることなく、それと並行して、住民を飢餓状態に置く作戦が行われている」と非難している。
安全地帯の設定は、ロシアが主導し、トルコとイランが参加して、アサド政権軍と反体制勢力の和平構想として決まったもので、東グータのほか、シリア北部のイドリブとホムス、南部のダルアーが対象となっている。
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