コラム

W杯で「信念の抗議」を見せたイランと腰砕けイングランド

2022年12月01日(木)16時55分

ひょっとすると、他のリベラルな国々も加わりたがったかもしれない。そしてそれはFIFAへのプレッシャーとして働いたことだろう。FIFAは本当に、イングランド主将とドイツ主将にイエローカードを出してさらに累積2枚になったら次の試合で出場停止にするつもりだったのだろうか。そして、主将代行が腕章をしたらそちらにもイエローカードを出し続けるつもりだったのだろうか。

どの地点まで行きつけば、FIFAはトップ選手をこの大会から締め出すことに心を痛めるようになるのだろう? サッカーファンはすでに、FIFAの不正の数々と、カタールでのワールドカップ開催に踏み切った(しかもほとんどの国ではサッカーシーズン真っただ中の時期に)FIFAの論理にうんざりしている。

自分の国のベストプレーヤーが出場停止処分になっていたら、ファンはどんな反応をしただろうか? 今となっては知るすべもない。僕たちの国の選手は、何一つリスクがない場合のみにしか声を上げようとしないようだから。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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