- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- ラシュディ襲撃事件に見る、行き過ぎた異文化尊重の危…
ラシュディ襲撃事件に見る、行き過ぎた異文化尊重の危うさ
文壇の仲間であるイギリスの有名作家たちがこの問題に対して見せる態度の曖昧さは信じ難いほどだった。ジャーメイン・グリーアは「そんな本に割く時間はない」と話し、ジョン・ル・カレは何者であれ偉大な宗教を冒涜することは許されないと言った。つまり、表現の自由は最もそれを重んじるべき人たちから擁護されなかったのだ。一般社会がそんな考えに染まったのも無理はない。
全ての文化は平等で、たとえそれがわれわれの法を犯すものであっても、自分たちの価値観のほうが勝っていると主張するのは誤りだ、という「進歩的」な考えも登場した。こうしたことが積もり積もって、結局は暴力の脅しに道徳や理性が屈することになってしまった。
ラシュディが大した犠牲も払わずに長年安全でいられたのは、イギリス政府の対策の成果だ。建前上、僕たちの価値観は傷ついていない。だがその裏では、イギリスメディアの自己検閲に見られるように、クレームに対して萎縮する姿勢が蔓延している。
例えば2006年にデンマークで預言者ムハンマドの風刺画騒動が起こったとき、イギリスの新聞は表現の自由を声高に叫びながらもその風刺画を掲載したところは皆無だった。各紙は状況を「炎上」させず「気配り」を見せたと自画自賛したが、同時に風刺画が侮辱的なのかそうでないのか読者が自ら判断する権利を奪った。結果として信頼性は崩れ、多くのイギリス人は今や、英メディアの「策略」なのではないかと疑っている。
無差別刺傷事件が発生したとき、容疑者が若いイスラム系移民であることはどう見ても明らかな場合でも、メディアがそのことにはほとんど触れずにやたらと容疑者の「精神障害の病歴」を強調することにも、人々は疑念を抱いている。
人種的マイノリティーや同性愛者、トランスジェンダー、そしてより広い社会における女性の権利などを声高に主張するリベラルメディアは、例えば「名誉殺人」や強制結婚といった、マイノリティー集団内部に根強く残る差別について報道して暴露することにはかなり及び腰だ。これらを糾弾するのは往々にして、メディアよりはるかに立場の弱い個人である集団内部の活動家たちにお任せ、となっている。
2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう 2025.01.08
土地持ち農家は高額な相続税を払え...英労働党の新方針が農村部で大不評 2024.12.27
シリアに散った眼帯のジャーナリスト...アサド政権崩壊で思い返したいこと 2024.12.12
バックパックを背負った犬が歩くたび、自然が蘇る未来 2024.12.06
イギリスを悩ます「安楽死」法の重さ 2024.12.04
引責辞任したカンタベリー大主教のセレブで偽善的でえげつない素顔 2024.11.30
トランプを勝たせたアメリカは馬鹿でも人種差別主義でもない 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員