コラム

ロックダウンに耐え忍んだ末のイギリスの規制強化は誰のせい?

2020年09月24日(木)13時20分

皆で困難を分かち合うとなれば、人々は多くの不便にも耐えようとするもの。厳密にマスクがどの程度コロナウイルス対策に効果があるのか分からないし、僕自身マスクは苦手だが、まるでルールは自分以外の他人だけが守ればいいかのようにふるまう人々の傲慢さに怒りを覚えているのは、僕だけではない。とりわけ僕は、他人の善意につけこむ人々にはイライラする(彼らは疑わしきは罰せずだから許してもらえるだろう、見た目では分からない障害があるかもしれないから確認されることはないだろう、というのを盾にとっている)。

もしもマスク着用ルールが罰金付きで施行されていたら、市民の賛同を得られていただろうと思う。マスクが感染拡大を防ぐ可能性があるのなら、着用を求めたとしてもやり過ぎとは言えなかったはずだ。警察は多くの罰金を科して市民の反感を買いたくはなかった。僕が思うに警察は、ルールを強制しなかったばかりに、市民がより大きなコロナの危険性のほうに反感を抱いていた絶好のチャンスを逃してしまったようだ。

僕は、「罰金」の名を変えて、国民保健サービス(NHS)を支援しPPE(個人防護具)供給や検査拡充やコロナ研究に役立てる「徴収税」という形にしてはどうか、と考えたりもした。だがそれどころか今や、感染率は上昇し、マスクよりもさらにずっと厄介なルールが設定されてしまった。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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