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「ブレグジット再投票すれば?」は危険な考え
市民無視の一貫した傾向
3つ目の論点として、この混乱にもかかわらず、EU離脱派の叫ぶ理由の多くのほうが、残留派のそれよりずっと見えやすく、言うなれば明白だ。EUは遠い組織で、民主的と言うより官僚的で、管理的で中央集権的で、いつでもEUの権力を第一に考えている、と考えられている。ブレグジットの交渉によって、これが変化することはなかった。
残留派の間でさえ、EUが素晴らしいなどという論調はほとんど聞こえてこない。離脱に反対する声で最も一般的なのは、「ブレグジットはそれだけの価値があるのか?」「より貧しくなるために投票する者などいない」といったもの。だから彼らは、「EUは民主主義と外交の成功例であり、EUの一員になることで私たちは恩恵を受けられる」と言うのではなく、「離脱は痛い目を見る」という言い方をしている。
せいぜい残留派は、EU残留の利点(域内の自由貿易やビザなし移動など)を指摘したり、もしも残留したならEUを内部から改革するよう努力できる、と唱えたりするのが関の山だ。
最後に、残念ながら、EUは常に改革をとても渋る体質を露呈してきた。2017年にエマニュエル・マクロンがフランス大統領に選出されたとき、彼はブレグジット後のヨーロッパの「白人期待の星」とみられた。熱意ある親欧州派でありながら、EUに真の変化をもたらしてEUと市民を再びつなぐことができる精力的な若き改革者、というふうに捉えられた。
だが、彼のEU改革論はどこかへ消え失せ、無期限延期の状態になってしまった。代わりに、マクロンは今、自国で問題を抱え込んでいる(ベルギーの首都ブリュッセルに住むEU本部のエリートたちは、こんな問題に直面して頭を悩ませることもないだろう)。だがマクロンは、少なくとも欧州軍構想の議論を復活させた。その構想こそ、イギリス有権者がEUを離脱したくなる要因の1つなのだが。
イギリスの有権者は、欧州軍創設が避けられなくなると考えているから離脱を望むというより、欧州軍創設はあり得るし、もしイギリスがEUに残留していたらイギリス有権者の意見は何ら問われないままに創設されるのだろう、と感じているからこそ離脱を望んでいる。
EEC(欧州経済共同体)からEC(欧州共同体)、そしてEUへ、という歴史を見れば、加盟国の市民の疑念などおかまいなしに本部の権力を強化していく、一貫した傾向が見て取れる。
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