- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- スターリンの恐怖と今のロシアの危険な兆候
スターリンの恐怖と今のロシアの危険な兆候

1945年にポツダム会議に出席したスターリン PUBLIC DOMAIN
<国を掌握するために敵ばかりか同志まで徹底的に粛清したスターリンの恐怖は明らかだが、プーチンのロシアではそれを美化するような揺り戻しも見られる>
最近、オックスフォード大学時代について書いた本を出したことで、僕は歴史学の学部生だった頃に読んだ興味深い本のうち何冊かをもう一度読み返したくなった。なかでも今日、うれしくも読み終えた『スターリンの恐怖政治』(邦訳・三一書房、原題The Great Terror)ほど印象的だったものはない。ずっしりと重い学術書だが、数千万のソ連市民を殺害し、投獄した1930年代スターリン主義の破滅的恐怖を描く、というこの本のテーマの大きさを考えればこの長さも当然だ。
数多くの詳細な記述があるものの、全体としてのテーマは著者コンクエスト(イギリスの歴史学者)の手で見事にまとめられている。スターリンが自身の権力を維持しようとするあまり、自国で無慈悲に大量虐殺を繰り広げたということだ。
この本は、スターリンの恐怖の本質と範囲について、まだ論争が続いていた1960年代後半に初版が出版された。でも僕の読んだのは1990年の再版で、ゴルバチョフ大統領の「グラスノスチ(情報公開)」によって入手できた新たな証拠や証言が加えられていた。
僕はここで書評をするつもりはない――20世紀の歴史を理解したい人は直接この本を手に取ることをお勧めする――けれど、指摘しておきたい点がいくつかある。まず、この本を読んでなお、スターリンの卑劣な本質や彼の支配体制に対して何らかの淡い幻想を抱くことは不可能だということだ。
いまだに一部では、スターリンは残忍な男だったがそれでも(間違いだったとはいえ)何か高貴なことを成し遂げようと奮闘した「運命の人」だった、という見方がある。だが、道徳的限界をわきまえない権力に取りつかれたサイコパス的殺人者だ、と見るほうがずっと正確だろう。
彼は(赤軍に対抗した)ロシア白軍の兵士など「階級の敵」だけでなく、ボリシェビキ(レーニン率いる左翼の多数派政党)時代のごく親しい同志までも殺害した。彼の権力闘争に付き従った忠実な取り巻きたちまで殺した。
著名なボリシェビキのうち、国家への反逆を企てたとして逮捕・処刑された人の数は、驚くに値する。彼らにかけられた容疑は「破壊」(故意に経済を妨害したこと)やスパイ行為(日本やポーランド、イギリスに協力したこと)、スターリンを殺害してファシスト政権を打ち立てようと陰謀を企てたこと、20年前に共産党員を装い潜入した帝政の秘密警察の一員であったこと、など。
スターリンは、十月革命とロシア内戦を主導したボリシェビキのリーダーたちはほぼ全員が「悪質な反共産主義者」であると国中に知らしめ、スターリンのこのばかげた考え方およびスターリンのやり方に従わない者は全員、粛清するよう命じた。
この愚かな嘘を実行するためには、途方もないレベルの恐怖が必要だった。その範囲は共産党全体、そして国全体にまで広がった。1934年から1939年の党大会の間に、半数をはるかに上回る議員が反革命的だとして逮捕された。一般議員のうちその職に留まれたのはたった2%だった。
ソ連共産党は事実上、スターリンによって形作られた全く異なる新共産党になった。子供ですら処刑されることもあり、被告の妻や娘たちも投獄され、拷問も日常的に行われていた。
政治改革を「いかにもそれやらなそう」な政党がやるとどうなるか 2025.02.15
「嫌な奴」イーロン・マスクがイギリスを救ったかも 2025.02.07
煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄道網が次々と「再国有化」されている 2025.01.22
2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう 2025.01.08
土地持ち農家は高額な相続税を払え...英労働党の新方針が農村部で大不評 2024.12.27
シリアに散った眼帯のジャーナリスト...アサド政権崩壊で思い返したいこと 2024.12.12
バックパックを背負った犬が歩くたび、自然が蘇る未来 2024.12.06
-
「セールス」外資ならではの働きやすさ/ホテル業界向けの業務管理システム提供/リモート可/2018年日本支社設立/32カ国・地域に7 000名以上のグローバルカンパニー
Shiji Japan株式会社
- 東京都
- 年収700万円~1,100万円
- 正社員
-
コンタクトセンターマネジャー・スーパーバイザー 外資企業向け/英語活用
トランス・コスモス株式会社~プライム市場上場企業~
- 東京都
- 年収300万円~600万円
- 正社員
-
「セールスコンサルタント」日系/外資TOP企業の人事/経営層を相手に採用戦略を提案/人材サービス「紹介/教育/研修」
株式会社リーディングマーク
- 東京都
- 年収600万円~800万円
- 正社員
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員