コラム

イギリスだけじゃない、イタリアだってEUに恨み節

2018年06月06日(水)15時45分

南欧諸国の若年者失業率は、破滅的な状況が続いている。イタリアでは18~25歳の45%が失業中。EUが移動の自由をあれほど主張している理由の1つもここにある。もしも仕事のないスペインやイタリアの若者がイギリス(あるいは雇用創出できるほど経済が好調な他の国々)に移動できないとしたら、社会的影響は恐ろしいことになるだろう。

僕は常々、EUのことを、まるでヨーロッパ諸国民に多様な恩恵を惜しみなく与える気前の良い存在であるかのように見ている多くの人々のバラ色の色眼鏡に驚かされてきた(変わり者で孤立主義者のイギリス人もそうやってEUを見ればいいのに!と思われているらしい)。

僕は、イタリアのポピュリスト政党が推し進めようとする経済計画が現実的だなどと言う気もないし、イタリア国内の多くの問題を生んだ責任がイタリア自身にはないなどとも言わないが、それでもイタリア有権者がこの政治状況を選んだ理由の一部は、EUにあるのではないかと思う。


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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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