- HOME
- コラム
- Edge of Europe
- パブから見えるブレグジットの真実
パブから見えるブレグジットの真実
チェーン店より階級の問題
僕はウェザースプーンズがかなり好きだけれど、僕の友人のなかでこの店を本気で気に入っているのは1人しかいない(僕と同じ町で同じような境遇で育った人だ)。大学時代の友人などは、軒並みお気に召さないらしい。
彼らが言うには、チェーン店は好きではない、とのこと。でも彼らは他のチェーン店のパブにはいくらでも行っているのだから(例えばロンドンを代表する「フラーズ」だってそうだ)、それは理由にならない。フラーズのビールは素晴らしいが、もっとずっと高い。ウェザースプーンズよりざっと6割増しだ。
さらに、ウェザースプーンズにはバーガーキングやコスタ・コーヒーみたいなチェーン店に付き物の「紋切り型スタイル」すらない。ザ・プレイハウスは劇場を改装してできた、ひと癖もふた癖もある店だ(僕はいつも「ステージ」に席を取っている)。ベリー・セント・エドマンズにある店舗は昔、穀物取引所だった美しい19世紀半ばの建物。チャンスリー・レーンにある店舗は豪勢な元銀行だった。そのほかの店舗はもうちょっとおとなしいけれど、没個性ということはない。
だから、ウェザースプーンズは階級問題なのだ。労働者階級はここへ行く。あるいは、1パイントが2.50ポンドか4.60ポンドかの違いは無意味じゃない、と思っている人は行く。ここには、僕のような層も含まれる。どちらかといえば貧しい家庭の出身者か、僕が考えるところのイギリスの「伝統的中流階級」に当たる人々だ。彼らにとって、倹約とケチは決して同義語ではない。
【参考記事】イギリスの漁師は90%がEU離脱支持──農家は半々
イングランド北部の人がロンドンに来たら、飲みに行くのはたいていウェザースプーンズだ。ロンドンの物価が馬鹿らしく高いと感じるからだろう。そしてその間も、ロンドンのビジネスマンやロンドンの商売人までもが、もっと「上品な」パブに行く(あるいは彼らの言うところの「もっと個性的なパブ」に)。
お仲間でつるむ「持てる者」
僕は以前、西ロンドンにある高級志向のパブに行ったことがある。そこではピンからキリまでのさまざまな価格帯のビールがどれも同じ5ポンドで売られていた。おそらく常連客は、お釣りのコインを受け取るのをかえって煩わしがるに違いない、との判断でそんな値段設定になっているのだろうと思う。
僕にはそれは馬鹿げて見えたけれど、調査によれば典型的なロンドンの住宅は50万ポンド(約7600万円)し、ここ数年は年8~10%で価値が上昇している。1日当たり、120ポンド(1万8000円)かそこらの値上がりだ。それももちろん馬鹿げているが、それでもこんな勢いで資産価値が上昇している状況に身を置いていたらどうなるだろう。40ペンスかそこらのお釣りだったら、わざわざ受け取るほうが手間だと思うようになるかもしれない。
現代のイギリスでは、家を持つ人と持たざる人、裕福な地域に住む人と貧しい地域の出身者、専門職に就く者と低賃金労働者が大きく分断されている。僕は「持てる者」たちと交友しているが、僕は「そう持てる者ではない」人々の中で暮らし、僕自身は経済的に前者よりも後者に近い。
2025年、ついにオアシス再結成......その真実を語ろう 2025.01.08
土地持ち農家は高額な相続税を払え...英労働党の新方針が農村部で大不評 2024.12.27
シリアに散った眼帯のジャーナリスト...アサド政権崩壊で思い返したいこと 2024.12.12
バックパックを背負った犬が歩くたび、自然が蘇る未来 2024.12.06
イギリスを悩ます「安楽死」法の重さ 2024.12.04
引責辞任したカンタベリー大主教のセレブで偽善的でえげつない素顔 2024.11.30
トランプを勝たせたアメリカは馬鹿でも人種差別主義でもない 2024.11.27
-
港区 営業アシスタント「海外ネットワークを持つ外資系総合商社」フレックス/残業月10h/年休120日
コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
- 東京都
- 年収500万円~550万円
- 正社員
-
一般事務/メーカー 残業なし/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
貿易事務/流通関連 駅チカ/外資系企業/20-30代活躍中
株式会社スタッフサービス ミラエール
- 東京都
- 月給20万6,000円~
- 正社員
-
経験5年必須/プリセールス/年商250億円企業/リモート可/外資系企業
SAI DIGITAL株式会社
- 東京都
- 年収400万円~750万円
- 正社員