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なぜドイツで極右AfDが躍進しているのか──5つの理由と、東側ブロック崩壊35年で「反動の時代」
なぜ支持基盤は東ドイツ地域にあるのか
AfDの特徴は、旧東ドイツの地域で支持が高いことである。東西で対照をなしている。州議会選挙では、2024年9月、東部テューリンゲン州で、第2次世界大戦後初めてAfDが第一党となった。隣の東部ザクセン州でも2位につけ躍進した。どちらも冷戦中は、東側のドイツ民主共和国に属していた地域だ。
なぜAfDは東で強いのだろうか。
まず挙げられるのが、経済レベルの差である。東西統一から35年経った今でも、東ドイツ地域は、ドイツ全体のGDPの中で16%しか占めていない。前述のテューリンゲン州は、ドイツ16州の中で一人あたりのGDPが最も低い州だ。
そして東ドイツ地域の多くの人が、自分たちを「2級市民」と感じているし、西ドイツの人にそう思われていると感じている。
東ドイツ地域では、政治や社会の要職には、西側からやってきたドイツ人が就くことが多く、自分たちの地域の人が代表になっていない不満も根強くあるという調査結果がある。
彼らは自分たちの権力や権利を奪われていると感じているため、西側の体制に反旗を翻す極右政党に投票すると考えられる。
また、東ドイツ地域の多様性の低さも挙げられる。
1970年代から80年代にかけて西ドイツの都市部では、トルコやモロッコなどからの出稼ぎ労働者の流入により文化的多様性が高まった。でも東ドイツではほぼ均質な状態が保たれていたと、米NGO「Rise to Peace」のテロ対策研究員であるカミール・アンバーガー氏は指摘している。
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