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冷戦思考のプーチン、多様性強調のバイデン 米欧露が迎える新局面とは?
一方で、このままこう着状態が続く可能性や、取りあえずは外交的妥協が生まれる可能性もある。「取りあえず」というのは、米欧がロシアの要求をそのまま飲むとは、全く考えられないからだ。
1月の交渉はどのように運ぶのだろうか。ロシアは自国の安全保障に今、10年後ではなく今、確約を与えることを繰り返し要求している。そして、今まで無視し続けた欧州とのコンタクトを、除外はしなかったという。直接なのか、欧州安全保障協力機構(OSCE)の枠組みなのかは、まだ不明である。
プーチン大統領の心の内は誰にもわからないが、なぜ今この事態かというのなら、ゼレンスキー大統領のアメリカとNATOへの接近、当人の年齢(69歳)だけではなく、唯一話ができる相手と言われてきたメルケル首相(67歳)の引退も関係あるかもしれない。
東ドイツ出身で、ロシア語を話したメルケル前首相。二人で会話するときは、彼女がロシア語、プーチンがドイツ語を話していたという。
そんな世代の二人と異なり、現在、EU加盟国の首脳の平均年齢は、50代と若い。特に、東欧よりも西欧が若い。
若いのは、民主主義が上手くまわっているだけではなく、EUのことが理解できる世代でないと、政治ができないからだろう。彼らにはもはや、プーチン大統領とは共通の基盤がほとんどない。
欧州では冷戦は終わったのだ。別の新しい時代が到来し始めている。でも、まだ残されている課題がある。それが、ソ連を構成していた国々で、東欧よりもっと東の国々である。
プーチン以降はロシアの民主化は必然と思われ、アメリカも主要な軍事的関心をもはや欧州には示さないなかで、ウクライナが途上に残されているのだ。次はモルドバ(と沿ドニエストル共和国)かもしれないが......。
やっと1月から交渉のテーブルは設けられることになったが、ロシアに「無視された」状況に置かれ続けた欧州は、いま何をして何を考えているのだろうか。
ロシアは、NATOの対話の呼びかけもほぼ無視して、アメリカとだけ話していたが、特にEUと欧州の首脳に与えた心理的影響は大きいだろう。EUの今後の方向性に、このことがきっかけとなり、歴史的な影響を与えるのではないかとさえ感じる。
この問題は、また稿を改めて書きたいと思っている。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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