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「開発独裁が効率的」「脱炭素も進む」...中東の「民主国」クウェートで何が起こっているのか
しかし、今回ハマド家が加わったことから、大ムバーラクの他の子どもの系譜も首長になれることになり、これがさらに複雑化する可能性が高い。つまり、首長位争いで首長家内部の対立が顕在化しやすくなるということでもある。
かつてクウェートは現代のエルドラドと呼ばれ、金持ちの代名詞のような存在であった。しかし、近年は、その座をUAEやカタルに奪われ、地盤沈下が著しい。
その原因の一つが、政府と議会の対立による政治の停滞であったことは容易に想像できる。政府主導のプロジェクトが議会の反対や妨害にあって、なかなか前に進まなかったのは前述のとおりである。他の中東諸国にない自由や民主主義は、クウェート人の自慢でもあったが、それが経済発展を妨げる要因となっているのは皮肉であろう。
実際、多くのクウェート人が、他の湾岸諸国と同様の「開発独裁」のほうが効率的だと主張するようになっており、日ごろ民主化や人権についてやかましい西側の専門家のなかにも、首長による議会閉鎖を、これで脱炭素を含む、さまざまなプロジェクトが進みやすくなるとして、ポジティブにとらえるものが少なくない。
今後4年のあいだに、クウェート人がどのような選択をするのか判断はむずかしい。だが、1989年の議会再開運動のときのような、民主化を待望する空気は、今の中東ではかならずしも主流ではない。
現在、世界全体で中国やロシアなど権威主義体制の影響が強まっており、中東でもそれは例外ではないのである。
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