インド中銀が0.25%利下げ、政策スタンス「緩和的」に変更

4月9日、インド準備銀行(中央銀行)は主要金利のレポレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ6.00%とした。2会合連続の引き下げで、金融政策スタンスを「中立」から「緩和的」に変更した。写真は中銀本店。2月撮影(2025年 ロイター/Francis Mascarenhas)
Swati Bhat
[ムンバイ 9日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は9日、主要金利のレポレートを25ベーシスポイント(bp)引き下げ6.00%とした。2月に続いて2会合連続の利下げで、金融政策スタンスを「中立」から「緩和的」に変更した。米関税でさらなる圧力に直面する経済の活性化が目的で、追加利下げの余地を示唆した。
利下げは予想通り。金融政策委員会(MPC)の委員6人全員が支持した。
インドの株式市場はトランプ米大統領による関税発表以降4%下落しており、エコノミストは今年度の経済成長率が0.2─0.4%ポイント押し下げられる可能性があると予想している。
中銀は現在、成長率は6.5%、インフレ率は4%と予想しており、以前の6.7%、4.2%からそれぞれ下方修正している。
マルホトラ総裁は声明で、米国が発表した関税措置により不確実性が高まったと警戒感を表明。関税の影響を数値化するのは難しいとした。
総裁は、インド経済の成長は改善しているものの、目指す水準を下回っていると指摘。インフレ見通しは穏やかとの見方を示した。
また、政策スタンスの変更は、MPCが現状維持か利下げの2つの選択肢のみを検討していることを意味し、流動性状況に直接関係するものではないと述べた。
コタック・マヒンドラ銀行のチーフエコノミスト、ウパスナ・バードワジ氏は「われわれは、世界的な混乱の拡大とインド経済への波及から、追加利下げが必要になると認識している」と指摘。世界経済の減速規模次第では、今後1年間で75─100bpの追加利下げの余地があるとの見方を示した。
MPCは声明で「このような厳しい世界経済の状況下、穏やかなインフレと緩やかな成長見通しは、引き続き成長を支援する必要性を示している」と述べた。
利下げ発表後にインド10年物国債の利回りは6.51%から6.50%にわずかに低下。通貨ルピーは1ドル=86.57ルピーでほぼ変わらず。主要株価指数は0.6%下落。
中銀はまた、貿易保護主義の高まりと通貨戦争の脅威がルピーにさらなる圧力をかける可能性があると指摘。
ルピーが現在の想定である1ドル=86ルピーから5%下落した場合、インフレ率は約0.35%ポイント上昇する可能性がある一方、輸出の競争力が高まるため、貿易を通じてGDP伸び率は約0.25%ポイント押し上げられる可能性があるとした。
ルピーは、米国の関税発表以来1.2%下落。2月10日には87.95ルピーに下落し、過去最安値を記録した。