米中対立の激化とともに過熱する、台湾総統選=米中代理戦争
台湾の総統選は米中代理戦争の様相を呈するのが通例で、今回も例外ではない。中国は多数の観光客を「親中的」な韓の高雄市に送り込んで人民元を落とし、「大いに儲けさせて、豊かにしよう」と露骨に国民党を側面から応援している。
郭はといえば、中華民国とアメリカの国旗をあしらった野球帽をかぶってホワイトハウス入りし、トランプと面会。習ともトランプとも直接対話できる候補だと宣伝したかったらしいが、中国メディアは帽子にあった中華民国旗にモザイクをかけて報道した。郭は激怒し、「中国は一つだが、それは中華民国だ」「中華民国の存在を認めない北京はまさに民進党の最大の応援団だ」など、中国に対する不満をあらわにしている。
「アメリカから嫌われる候補は当選できない。中国から嫌われる候補は国政を運営ができない」と、台湾の人々は自らが置かれている困難な立場を認識している。果たしてどの候補が最終的に選ばれ、どんな政策を語るのか。西太平洋の島で展開される米中代理戦争=台湾総統選の行方から目が離せない。
<本誌2019年05月28日号掲載>
※5月28日号(5月21日発売)は「ニュースを読み解く哲学超入門」特集。フーコー×監視社会、アーレント×SNS、ヘーゲル×米中対立、J.S.ミル×移民――。AIもビッグデータも解答不能な難問を、あの哲学者ならこう考える。内田樹、萱野稔人、仲正昌樹、清水真木といった気鋭の専門家が執筆。『武器になる哲学』著者、山口周によるブックガイド「ビジネスに効く新『知の古典』」も収録した。
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