最新ポートランド• オレゴン通信──現地が語るSDGsと多様性
ポートランド発 ホワイトハウスへ『差別とヘイトを越えた』真の多様性
| 引き継いでいく多様性と包摂性、そして持続可能な社会へ
山本「現在でも多くの公的機関の委員会に出席をして、『この地域社会にとって、マイノリティ・ビジネスは不可欠である。マイノリティが活躍出来る場を拡大していくように。』という進言を続けていらっしゃいますよね。」
サム会長「持続、継続をしなければ、ビジネスも地域コミュニティーも変えることはできません。皆がより高められる形で、協働システムを変革し続けることが大切なのです。より一層包摂的に、優れた公正なマイノリティの人材を公的委員やアドバイザーに任命し続ける。そして、その数をもっと増やすことが、この地域には必要なのです。」
山本「本当にその通りですよね。2019年のリサーチ*でもポートランドの多様性は、全米の主流都市として下から5番目という結果ですから、ちょっとしょんぼりしてしまいます。」
サム会長「しかし見かたによっては、この10年でポートランドや近郊都市での人種的・性別マイノリティの公的機関トップ数は、大幅に増えています。
また最近では、OAME発案の多様性プログラムや中小企業向けローン等を公的機関が逆に取り入れたりと、さまざまな公的分野での改善や変化もみられます。
多様性と包摂性は大きな課題です。世代をまたいで継続して行うことしか、社会やコミュニティーの変化は遂げられません。今まで築き上げてきたものを壊さないように、より良い形で次の世代に渡してゆく。孫の世代が生きていく時代を真剣に考え取り組んでいくという意識の変化が、今の私達一人ひとりに必要なのです。
そして、これは多様性と包摂性という分野だけに限りません。『今自分が生きている時代をどうにかやり過ごすことができれば、あとは関係ない』という考えは本来、恥ずかしいことなのです。
新たな発想を吸収しながら、どのようなコミュニティーに発展させてゆくのかを一緒に考えいく。そしてそのバトンを次の世代に渡していくことが、真の持続可能な社会といえるのではないでしょうか。」
It doesn't matter who you are today, but who you are TOMORROW.
『今日のあなたはどうであれ、明日という未来のあなたはどうありたいのか。それが大切なんだ。』サム会長が良く言うセリフです。
この時代を生きていく上で、逃れることが難しいマイナスの要素とどう付き合っていったいいのか、分からなくなることが多いです。目に見えるハンディでなくても、何かしら抱えている方は大勢います。もちろんわたしも、そのひとりです。
最初から挫折感もなく完全無欠と思っている人よりも、劣等感をひとつひとつ脱ぎ捨てていく人。そしてそれを売りにしていない人は、とても素敵だと感じます。
あなたは明日、どうありたいですか...。
著者プロフィール
- 山本彌生
企画プロジェクト&視察コーディネーション会社PDX COORDINATOR代表。東京都出身。米国留学後、外資系証券会社等を経てNYと東京にNPOを設立。2002年に当社起業。メディア・ビジネス・行政・学術・通訳の5分野を循環させる「独自のビジネスモデル」を構築。ビジネスを超えた "持続可能な" 関係作りに重きを置いている。日系メディア上のポートランド撮影は当社制作が多く、また業務提携先は多岐にわたる。
Facebook:Yayoi O. Yamamoto
Instagram:PDX_Coordinator
協働著作『プレイス・ブランディング』(有斐閣)