イタリア事情斜め読み
イタリア選手団が選手村からレポート、またIOCから厳重注意
| オリンピック競技大会のイタリアメディアの報道にIOCから抗議
2021年の東京オリンピックでもイタリアは金、銀、銅のメダルだけでなく「みっともないで賞」も獲得している。
オリンピックが開催して早々、初日からイタリアの遠征隊は、オリンピック大会に出場しているアスリート2人と選手のサポートをするコーチなど4人が、マスコミに関与し、オリンピック憲章規則第48条付属細則で規制されているものに違反したという事件があったという。
これまで、イタリアは開催前に大きな問題を抱えてきた。イタリアオリンピック組織委員会( Comitato Olimpico Nazionale Italiano=CONI)の自治に関するオリンピック憲章違反について、イタリアのオリンピック出場についての問題では多くのことが語られてきた。
財政部門の資金を管理する合資会社のSport and Health(スポーツ&健康)が2018年からイタリア政府の財務省の会社となった。この組織は以前CONIが管理を行っていたが、政府の財務省が直轄になったことで、スポーツ予算の配分を行っている現状がオリンピック憲章第26条に抵触したという。
詳しくは→ イタリア選手団、東京オリンピックで国歌や国旗の使用禁止か
CONIのマラゴ会長のスポーツ改革法はIOCが政治的中立性をスローガンとする主要なオリンピックの理想を掲げた憲章に違反している。
イタリア政府に一歩後退してもらうという形をとった。
いわゆる「Save-Coni法令」を追加導入する事で、全て白紙にした事で問題をクリアーしたのだ。
クリアーしなければ、制裁処置として、イタリアは東京オリンピックの開会式で国旗を持って選手団が入場することも表彰台での国旗掲揚や国歌斉唱もできなくなるかも知れないという、イタリア史上あり得ない前代未聞のネガティブな黒歴史を作るところであった。
東京オリンピックへ遠征に出たイタリア代表のアスリート達がそのスキャンダラスなイタリアのつまずきである "スポーツの非政治化 違反 " についての内容を含む質問のインタビューを受ける事となった。
アスリートのスポンサー企業でもない、組織委員会から承認をもらっていないマスコミが、オリンピック出場選手へ直接インタビューをして、選手視点からの感想や意見を引き出していた。
これを「選手の声」として、メディアが報道をするなどしていた。
実際には、選手たちの意見表明や政治的なことに関する発言を禁じているのだが、イタリアのメディアであるガゼッタ・デロ・スポーツなどは、開会式の旗手に任命された2人の代表選手、ジェシカ・ロッシとエリア・ヴィヴィアーニへ取材した際、この二人の発言が2つの記事になり、彼らの言葉であると報道した。
オリンピック五輪シンボルマークがついた代表ユニフォームを着ている選手の肖像が、公式マスメディアでもない新聞社のロゴが記載されたサイトなどに記事が大々的に掲載された事は、実は大問題である。
それは、オリンピック憲章の違反であり、ジャーナリズムは過ちであり無礼であるとIOCから厳しく批判された。
この2名選手は、反商業主義やアマチュア主義を掲げているIOCから正式な苦情を受けた。
その後、ジェシカ・ロッシは謝罪しなければならなくなり、軽く謝罪した。
彼女は射撃の選手で、金メダルを期待されているイタリアの希望と言われている選手である。
イタリア代表団開会式入場行進。旗手はジェシカ・ロッシとエリア・ヴィヴィアーニ(自転車競技)。ジェシカはロンドン五輪の射撃金メダリスト。彼女は直前の2012年5月に伊北部レッジョ・エミリアを襲った地震の被災者で家を失った。彼女はイタリアの希望と復興シンボルであるhttps://t.co/P3KMv2sAUZ
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 23, 2021
そして暗黙のうちに彼女の記事はなくなり、競技に集中しなければいけないため、何もなかったのようになった。
ジェシカ・ロッシとエリア・ヴィヴィアーニは、時には反政治的・逆説的な意義を唱える主人公として取り上げられ、二人の意図していない部分で反政治団体や反オリンピックを掲げるネガティブ偏向報道に加担した形となった。アスリート達はノーコメントを貫くべきであったのではないだろうか。サービス精神でつい答えてしまったことが、IOCからのクレームとなった。
一方、
オリンピック憲章規則第48条付属細則で規制されているものに違反しているとしてIOCが介入し注意を受けた人たちがいる。
サイクリングのコーチであるカッサーニとフェンシングのコーチであるクオモは重大な違反を犯した。
サイクリングの選手であるダヴィデ・カッサーニがコーチに向けて書いた手紙をコーチが新聞社イル・ジョルナーレにリークした。元コメンテーターであるこのコーチは、コーチとしての経験を常にダイレクトに語ったりしていた。カッサーニ選手と一緒に撮った写真なども掲載され、選手に許可をとるどころか肖像権は完全に無視されている。
イタリア最大スポーツ紙のガゼッタ・デロ・スポルトに、フェンシングのコーチのサンドロ・クオモが開会式の式典後に選手の様子をリークし、選手達の言葉はオリジナルコンテンツであるかのようにガゼッタ・デロ・スポルトにパッケージ化されて公開された。コーチのした事はジャーナリストのような活動をしている違反行為である。
ジャーナリストとして日本入りし、フェンシングの選手達と共に選手村にいるわけではない。あくまでもコーチなのだ。
CONIはすぐさま、関係者や選手達を呼び出し、詳しい説明を求めた。
そのような違反を排除するまで、アスリートでさえ、ペナルティが科せられる。しかし、選手達に事情を聞いたところ、自分たちが書いたものでもなくサインしたものでもなく撮ったものでもないと否定したという。
最終的にラ・ガゼッタ社は、「東京オリンピックの特派員によって集められた彼らの言葉を正確にレポートしましたが、彼らは実際には、手紙を書いておりません。」と、捏造であった事を認め、訂正とお詫びの記事を出した。
| オリンピック競技大会のメディアの報道
そのオリンピック憲章規則第48条3項には、次のように書かれている。
規則 48 付属細則
3. メディアとして資格認定を受けた者だけが、記者、リポーター、その他全てのメディアの資格で活動することができる。いかなる事情があっても、オリンピック競技大会の開催期間を通じ、いかなる選手、コーチ、役員、プレス・アタッシェもしくはいかなる他の資格認定を受けた参加者も、記者あるいはその他のいかなるメディアとしての活動もすることはできない。
つまり、ジャーナリストとして認定された人々だけがジャーナリズム活動を行うことができるのだが、実際の状況では、アスリート、コーチ、またはその他の参加者がジャーナリズム活動を実行してしまっている。
「してはいけない」という規則があることを理解しているのは当然の事で、ルールは厳守されるべきであるのだが、イタリアは東京入りして数時間で4回も違反した。
IOCは、即座に反応。五輪憲章に違反すると指摘し、イタリアオリンピック組織委員会CONIに注意勧告をした。措置としては大会から追放される事もある。再犯すれば次回大会への参加も認められなくなる。
CONIはそれを真摯に受け止め、再犯防止に勤めている。
例えば、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)は知的財産保護·日本代表選手等の肖像使用について「オリンピックパートナー以外の個人スポンサーや所属先、マネジメント会社等の営利団体(以下、「個人スポンサー等」という)は、オリンピック日本代表選手団に言及したり、イメージを流用したりすることはできない」と注意事項を分かりやすくイラスト付きでマーケティングのガイドラインを説明している。
東京2020オリンピック競技大会に関する知的財産保護·日本代表選手等の肖像使用について
非営利団体が、大会参加者のオリンピックに関する言及(内定・メダル獲得の事実含む)をウェブサイト上や
SNS、プレスリリース等に記載し発信する場合、オリンピックパートナー以外の企業名・企業ロゴを全て排除しなければいけないし、実施を検討する場合には、事前にJOCに相談しなければならない。
CONI(イタリアオリンピック委員会)も図式で注意事項を分かりやすくガイドラインをまとめるべきである。
| 東京オリンピック、イタリア代表団が選手村から日常をレポート
東京五輪イタリア代表団長カルロ・モルナーティ:«食堂では常にマスクと厳格なルールがあり、テーブルにはプレキシガラスが使用されています。私の印象では、バブルに入ると安全だと感じます。外部の方が不安があります。ここオリンピック村で毎日PCR検査をします»
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 19, 2021
選手村よりhttps://t.co/hEftF91aX3
イタリアのコッリエーレデッラセーラにイタリア人記者のレポートが紹介された。
"タクシーの運転手が予防接種を受けています(多くのQRコードが公開されている)"
日本ではワクチンを接種することは義務ではないが、タクシー運転手は一種のグリーンパスを持っている。
東京都民は予防接種を受けたタクシーに乗ることができる安心だ。東京でタクシーに乗る場合は、ワクチン接種済みの運転手さんが運転するタクシーを選ぶことをお勧めする。
という現地のイタリア人記者のレポートである。
イタリアには、そんなワクチン接種済みステッカーやQRコードが公開されているシールが窓に貼られているなんて気配りの行き届いたタクシーなんて存在しない。
日本のタクシー会社、そして運転手さんが、どれだけ感染拡大防止に力を入れ、細心の注意を払って運行しているのかが伺える。コロナウイルス対策が万全なタクシーは、外国から来た乗客への最高のおもてなしであると感じる。
こんな些細なところでもイタリア人には斬新だと受け止められ、感銘を受けるポイントなのである。
また、東京オリンピックのイタリア代表団長は、選手村の食堂について様子を語っている。
イタリアオリンピック委員会の書記長で元イタリア代表カヌーの選手、カルロ・モルナーティ(49歳)団長
A:食堂では常にマスクと厳格なルールがあり、テーブルにはプレキシガラスが使用されています。食堂までは車で行きます。
私の印象では、選手村の内部よりも外部にいる方が不安を感じます。バブルに入ると安全だと感じます。
Q :東京で何が起こっているの?
A:選手村でのコロナ感染者数が増えてきています。
私たちは2度の陰性スワブから始まりました。1回目は空港に着陸して直後、そして、ここオリンピック選手村で毎日テストされます。アスリートは毎日続々と選手村に到着しています。定員に達した村には、11,000人が収容されます。要するに、一つの国家のようです。まさに国です。そのような大きな国で陽性者が現れないだろうと自分を欺くことは非現実的です。しかし、IOCのバッハ会長が選手村でのコロナウイルス感染情報を頻繁に更新して確認しているように、すべてが完璧に管理されています。
Q:東京オリンピックの選手村とその前のリオオリンピックの選手村とでは、主な違いは何ですか?
A:常にマスクを着用する義務があることです。そして、食堂にはもっと厳密な手順があります。
Q :それについて教えてください。
A:まず、食堂に入って手を洗い、手袋をはめます。島ごとに分けられた世界の主要な料理があります。
ビュッフェ方式で食事が選べます。かつて私たち全員で一緒に座っていた一般的なテーブルが再編成されています。私たちは、プレキシガラスで区切られた単一のステーションで食事をします。
要するに、視覚的なコミュニティです。
遠く離れた太平洋の島から来たアスリートは、自分たちの憧れの選手がプラスチックの壁を通して食べるのを見ています。残りの部分については、選手村に関するルールは常に同じです。
Q : 不安や心配はありませんか?
A : 私たちは社会的距離のルールを尊重しなければならないことを誰もが知っています。
私たちは日本に来る前にそれを承知です。スポーツの世界は、1年半の間、バブルの中で生活し、密室で競争してきました。オリンピックでは、すべてが増幅されます。まるで、東京で25回の世界選手権が同時に開催されたかのようです。
選手村の人口はだんだん増えてきています。私たちは約5000のプレゼンスを持っています。
すべてバッファリングされ、完全に追跡されています。必要に応じてすべてから分離も可能です。
選手村に入れば追跡は即座に行われます。不要不急な外出を避けるよう注意しなければいけません。
Q : イタリア村はどのように組織されていますか?
A : 私たちだけで独立した10階建ての建物があります。現在、130〜140人のアスリートがいます。
第1週から第2週の間にイタリア代表チームは1日約30人の団体でイタリア村に到着します。
満員になるとイタリアの建物には348人の代表団のうち220〜240人のアスリートが含まれます。
Q : 二人部屋(ダブルルーム)で寝ていますか?
A:はい。単一のシングルルームは意味がありません。それから私たちは常にグループで行動し移動します。バスは集合的です。
Q : 選手村にいる人たちはみんな完全にワクチン接種がされていますか?
A:それが問題です。バッハは、ワクチン接種を受けたアスリートは全体の80%に到達する必要があると述べていますが、残りの20%はウイルスに感染する可能性のあるベクターです。私たちイタリア人は皆、完全にワクチン接種されています。つまり、全員2回投与済み。単回投与(J&J)接種済み。
Q : アスリートはどのくらい村に滞在できますか?
A:試合が終わった人は24〜48時間以内でここを去ります。トーナメントで3週間にわたってゲームがある場合のチームだけが長い間滞在します。
「アスリート達は1日700のメニューオプションがあるユネスコの世界遺産に指定された和食を味わえる機会がある。洋食、和食、アジア料理(中国、インド、ベトナム)3つのカテゴリに分類されている。しかし、寿司や刺身は提供されない。」と紹介。
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 17, 2021
日本食は寿司刺身・天ぷらだけだと思ってるからね。
| 開会式を絶賛したイタリア
コロナ禍である事もあり、開会式は派手ではなく素朴な感じではあったが、とても素晴らしかったと大絶賛であった。
最後までリハーサルを念入りにしている様子をイタリア人ジャーナリストがレポートしていたりもした。
オリンピックスタジアム内の式典の舞台裏である東京:これがチームのモチベーション。https://t.co/7a2RmB9qKj
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 23, 2021
また、"人間ピクトグラム"も大絶賛であった。
東京オリンピック開会式、"人間ピクトグラム"大絶賛。
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 23, 2021
日本のアーティスト、吉田正富と大野均は、オリンピック競技のライブを示す50のピクトグラムを復活させた。無観客で開催されたが、このようなパフォーマンスが不足することは決してなかった。と、世界が評価している。https://t.co/f5jEeUqeey
| 歴代的にみたオリンピック総合メダル獲得数世界ランキング
東京オリンピックでは現在メダル数では15位のイタリア。
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 28, 2021
日本が1位。そんな中、報道では歴代オリンピックメダル総数での世界ランキング。1896年アテネ五輪から2016年リオ五輪までに行われた全ての夏季、冬季、オリンピック・パラリンピック総合メダル数を表にしたものをイタリアが出してきた。6位だと pic.twitter.com/BOEGMxYnxy
歴代オリンピックメダル総数での世界ランキング。1896年アテネ五輪から2016年リオ五輪までに行われた全ての夏季、冬季、オリンピック・パラリンピック総合メダル数を表にしたものをイタリアは出してきた。
2位を大きく引き離し、堂々の1位はアメリカ。単一国で2827個のメダルを獲得した国である。2位はソビエト連邦が1204個のメダルを獲得し、続いてドイツが1019個、イギリスが899個である。
イタリアは716個のメダルを獲得し6位、その一つ上の5位がフランスである。
イタリアの総数メダルの内訳は金メダルが252個、銀メダルが221、銅メダルが243。
金メダルだけを考慮してランキングを見ると、第1位は、米国が50回の参加で1134個の金メダルを獲得している。
ソビエト連邦が473個、ドイツが329個、英国が281個、フランスが257個、イタリアが252個の金メダル。
すぐ下に237個の金メダルを獲得している中国が順位を抜かそうとしている。
2021年までの大会延期で大きな犠牲に耐え抜いたアスリートに対して賞金をUPするのは当然の義務だとイタリアではメダリストへ支払われる賞金金額を20%増額
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 23, 2021
金メダル15万€→18万€=約2,350万円
銀メダル7万5千€→9万€=約1,170万円
銅メダル5万€→6万€=約780万円https://t.co/BmSka9e4Eq
また、イタリアオリンピック委員会は、オリンピック賞の賞金額を20%UPすることを発表した。
イタリアは、オリンピックのメダリストへ多額の賞金を贈られる国ではない。
日本では、東京五輪で金メダルの場合、各競技団体から、2000万円(陸上、ゴルフ)、1000万円(バドミントン、卓球、空手)、800万円(テニス)、500万円(野球)、300万円(ラグビー、スポーツクライミング)などが贈られるという。
| 日本の国益にならないネガティブキャンペーンをしている某新聞社の記者達
イタリアオリンピック委員会は、イタリアや国際的なTVネットワーク、アスリートのためのホスピタリティハウス兼スタジオとして、公式ホスピタリティハウス『Casa Italia(カーサイタリア)』を東京都港区の高輪・貴賓館にオープンさせた。
公式ホスピタリティハウス『Casa Italia(カーサイタリア)』高輪・貴賓館にゲストとして招かれたモナコのアルベール2世王子は、東京オリンピックについて「並外れた素晴らしいスポーツイベントのレベルだ。」と称賛の言葉を述べられた。
バレーボールの試合を観戦するため、足早に報道のたまり場を過ぎ去ったが、短くてもとても重要なコメントであったし、東京オリンピック・パラリンピックの実行委員会が聞いたらきっと嬉しいことだろう。
公式ホスピタリティハウス『Casa Italia(カーサイタリア)』高輪・貴賓館にゲストとして招かれたモナコのアルベール2世王子は、東京オリンピックについて「並外れた素晴らしいスポーツイベントのレベルだ。」と称賛の言葉を述べ、足早にバレーボールの試合を見に去った。https://t.co/IW8ZJ94JJl
-- ヴィズマーラ恵子イタリア在住 (@vismoglie) July 29, 2021
ミラノ/コルティナは、2026年の冬季オリンピックの開催地として正式に決定している。パンデミックのコロナ禍にこのような2020年東京オリンピックが開催され、その地に他国が存在することは、国際的なスポーツの信頼性を勝ち得ていると言える。今後、夏季・冬季に行われるオリンピックは、この東京オリンピック・パラリンピック2020がモデルケースとなり、今後コロナウイルスと共存して生きていかなければならない人類が大規模イベントを行う時のお手本となるだろう。世界初のコロナ五輪は東京から始まったと、歴史に東京オリンピック・パラリンピック2020の名は刻まれる。この大会は絶対に成功させなければならないし、9月5日(日)の東京パラリンピック閉会式まで東京五輪の成功を心から祈りたい。
一方、日本では、
東京オリンピック開幕から5日目となった27日、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者は2848人となり過去最多となった。医療逼迫(ひっぱく)が懸念されている。
という報道で、感染者数が増えたのは、あたかも東京オリンピックを開催したからかのように煽る報道が日本では横行しているようだが、大規模イベントやオリンピック開催中でないイタリアのコロナウイルス7月28日の感染状況は新規感染者が5696人で15人が死亡している。陽性率は248,472本のPCR検査数で2.3%(昨日1.9%)に上昇。感染が3桁に増加した地域は15地域になった。
医療崩壊や医療の逼迫などはない。病床数に至ってはイタリアは日本の比ではない。
人口1,000人当たりの病床数世界一は日本である。日本は13.0床。
主要7カ国を見ても、ドイツ8.0床、フランス5.9床、イタリア3.1床、アメリカ2.9床、イギリス2.5床。これを見ても圧倒的に日本の13.0床は多い。
イタリアでは6,700万回以上投与が完了しているにもかかわらず、症例数は増加し、陽性率は2.3%。
イタリアの人口は日本の人口の半分だ。
イタリアで医療逼迫が起こっていない現状で、イタリアでワクチン接種サイクルを完了した人は31,390,566人で12歳以上の人口の58.12%がフルワクチン接種を終えている。にもかかわらず、イタリアはこの新規感染者数の多さ・・・。もちろん、東京オリンピックのせいではない。
イタリアでは、ワクチン証明のグリーンパスが義務化されたことによるワクチン反対派の数千人規模でのデモが全国各地で行われている。ワクチンを接種していない人たちが密になって大声を出してパレードしているわけだから、感染者が増える事は必至だ。
東京オリンピックについて世界に向け、偏向報道をし、日本の国益にならないネガティブキャンペーンを発信し続けている日本国内の記事には呆れるし、大変残念である。
著者プロフィール
- ヴィズマーラ恵子
イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie