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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリアの新しいコロナ対策方針

画像: Yakobchuk-iStock

オーストラリア政府は10月14日よりコロナ陽性の場合でも5日間の隔離は強制ではないとしました。今までもいちいちチェックしていたわけではありませんがこれからは無症状なら隔離しなくてよくなりました。以前は7日の隔離だったのですが、それが5日になり、そして隔離なしになりました。これにより政府の規制上はコロナ陽性でも学校に行ったり、仕事に行ってもいいことになります。しかし風邪をひいた場合のように、調子が悪ければ一般常識として家にいてくださいということでしょう。

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画像: Aleksei Naumov-iStock

しかし隔離が必要でないケースに医療、介護、老人ホームなどで働く人は含まれません。これらの職に就いている人たちは今までどおり隔離が必要です。私が働いているクリニックでも風邪などの症状があればコロナ検査が必要ですし、患者を直接診察するのは禁止とされています。今のところ風邪症状の患者に対してはPCR検査をしていただいて陰性の場合は、風邪症状患者専用の部屋で防護服を着用して診察するか、迅速抗原検査が陰性の場合は駐車場で防護服を着用して診察しています。以前は風邪症状の人は医師からのオーダーがなくてもドライブスルーなどでPCR検査を受けられましたが、最近再び医師からのオーダーが必要になりました。また、夏が近づき外で防護服を着て診察するのも大変になってきました。迅速抗原検査も高性能の物がでてきたので、11月からはこちらが用意した抗原検査をまずしていただき、陰性の場合はPCRがなくても診療所内で診察する方針です。

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画像: Jarmo Piironen-iStock

政府主導の隔離が廃止になったことにより、コロナで隔離した場合の手当ても廃止になりました。隔離廃止以前はPandemic Leave Disaster Paymentsという名の政府支給の手当がありました。オーストラリア政府としてはコロナ前の日常をできるかぎり取り戻したいのと同時にコロナ手当を廃止する狙いもあるようです。

以前オーストラリア政府から毎日コロナ発生件数、入院患者数などが発表されていましたが、これも一週間に一度になりました。オーストラリア政府は、コロナの市中感染件数が減っていること、ワクチンや感染で多くの人が免疫を持つようになったこと、そして抗ウイルス剤の安定した供給ができるようになったことを隔離廃止の理由としています。その一方で、発生数が増えすぎた場合などは、法的隔離を再開するオプションを残しています。

コロナの隔離が廃止されたことにより、オーストラリアのコロナ件数がどうなっていくか注目です。




参考
https://www.9news.com.au/national/covid19-isolation-rules-australia-explained-government-drops-all-mandatory-isolation/201a10bf-1dd5-4a35-b72f-d9e07267f4f6
https://www.theguardian.com/world/2022/sep/30/australias-new-covid-rules-isolation-recommended-but-not-required

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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