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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

海外旅行保険の重要性

画像:pixabay_Pamjpat

海外旅行をする際の保険への加入は、日本やオーストラリアに限らず、どこに行く場合も大変重要です。短期の海外旅行の場合、若い人は保険に加入しなくても大丈夫だろうと考えることが多いかもしれません。実際、海外でケガや病気になることは稀でしょう。しかし、海外旅行保険に加入していないことで、さまざまな問題に直面したケースもあります。

海外旅行保険には病気やケガの診療費や入院費をカバーする医療保険、盗難や事故による携行品の損害をカバーする保険、旅行中に他人にケガをさせた際の傷害賠償保険など、様々な種類があります。どの保険も重要ですが、特に医療保険では病気やケガの診療費をカバーする\だけではなく、必要な医療を受けられる場所への医療搬送や本国への移送がカバーされていることが重要です。国によっては治療薬や医療施設が不足しているため、他の国への医療搬送が必要になることがあります。長期のリハビリが必要なケガや病気の場合は、本国への医療移送が必須となるでしょう。

私は渡航医学を専門としているため、海外旅行のためのワクチン接種を希望する患者を多く診察しますが、ワクチン接種の際には海外旅行保険についてもお話しするようにしています。多くの渡航医学を専門とする医師は、海外旅行保険をワクチン接種と同じかそれ以上に重要と考えています。

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画像: pixabay_Tumisu

ただし、海外旅行用の医療保険に加入していればすべての問題が解決するというわけではありません。保険の中には既往症をカバーしない場合や、カバーするために追加の保険料が必要となる場合があります。また、スキーやスノーボードなど事故のリスクが高いスポーツを行う際には、追加の保険が必要なこともあります。

また、海外旅行保険は、その国の法律を守っていない場合、例えばバイクを運転中にヘルメットをかぶっていない場合など、保険が適用されないこともあります。

もし海外旅行保険に加入するのを忘れてしまっても、最近では多くのクレジットカードに保険が付帯しています。ただし、これらの保険はカバーされる金額が低かったり、旅行のための航空券をそのクレジットカードで購入している必要があったりする場合があり、使用できる範囲や条件を事前に確認しておくべきです。

また、海外旅行保険に加入していても、先に自分で支払いをしなければならない場合も多く見られます。オーストラリアでも、病院ではまず自分で支払いを行い、その後に保険会社に請求する方式が一般的です。そのため、保険に加入していても、ある程度の現金を用意しておく必要があります。

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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