オーストラリアの新型コロナウイルス対策の方針は現在二つに分かれています。今までのようにロックダウンにより新型コロナウイルスゼロを目指すか、新型コロナウイルスと共存するのかという案です。

これまでオーストラリアはロックダウンを繰り返すことで、新型コロナウイルスの市中感染をゼロにすることに成功してきました。しかしニューサウスウェールズ州の新型コロナウイルスのデルタ株による感染の広がりは、約2か月以上のロックダウンでも止む気配はありません。ここ数日のニューサウスウェールズ州の新規感染者数は1000人を超え、ニューサウスウェールズ州知事はもはや新型コロナウイルスの市中感染をゼロにするのは無理だと発言し、州内のワクチン接種完了者の割合が7割から8割になったら規制を緩和すると発表しています。

以前はニューサウスウェールズ州の新型コロナウイルス感染はシドニー近郊で起こっていましたが、現在はニューサウスウェールズ州の地方の小さな町などにも広がっています。ビクトリア州やオーストラリアの首都キャンベラがあるオーストラリアンキャピタルテリトリーでもデルタ株の市中感染が発生しています。

ニューサウスウェールズ州や何度もロックダウンを繰り返しているビクトリア州などではワクチン接種者数は着実に増えています。しかし市中感染があまり発生していない州では新型コロナウイルス接種を急ぐ必要はないと考える人も多いようです。長期の案としても、州によって新型コロナウイルスゼロを目指すか、7割以上がワクチン接種を終えたら規制を緩和するかでわかれています。モリソン首相は7割以上がワクチンを接種したら規制緩和を進めたいようですが、州政府にも決定の権限があるので、国全体としてどうしていくのか現在議論されています。

画像:Dobe-ISTOCKS

ニューサウスウェールズ州では規制緩和の場合、ワクチン接種完了証明を提示することを入店の条件とする案があります。現在、飲食店や施設に入るときはチェックインアプリでQRコードをスキャンしてチェックインします。そこにワクチン接種完了証明を加えて、入店の際にチェックインした人がワクチンを2回接種したかわかるようにするシステムを検討しているのです。

画像:Daria Nipot-ISTOCKS

オーストラリア政府は国としてはワクチン接種は強制としていませんが、雇用主が職場の従業員や客を守るために予防接種を必須とすることは可能だといっているので、今後、ワクチン接種が多くの職場で雇用や入場の条件になることが増えると考えられます。

参考
https://www.abc.net.au/news/2021-08-29/nsw-records-1218-new-covid-19-cases-six-deaths/100416170
https://www.abc.net.au/news/2021-08-29/covid-live-blog-nsw-press-conference-vic-lockdown/100415572
https://www.theguardian.com/australia-news/2021/aug/26/doherty-institute-urges-caution-in-lifting-australias-covid-restrictions-in-updated-advice-to-government
https://www.smh.com.au/politics/nsw/bars-eateries-out-of-bounds-for-unjabbed-under-reopening-plan-20210827-p58mjk.html
https://www.news.com.au/finance/small-business/coronavirus-nsw-plan-to-exclude-unvaccinated-people-from-bars-restaurants/news-story/5e186343d92d82bad28a8952e70bec5f
https://www.abc.net.au/news/2021-08-23/covid-sydney-restrictions-queensland-border-protest/100398206
https://www.abc.net.au/news/2021-08-26/morrison-australia-covid-cave-problem-lockdown-states/100407514
https://www.abc.net.au/news/health/2021-08-28/nsw-covid-number-high-lockdowns-victoria-cases/100409856