World Voice

ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツワインのDNA「テロワール」を学ぶ旅 (2) ナーエ

コレル・ヨハネスホフワイナリー

バードクロイツナッハー地区ボーゼンハイムに本拠地を置くコレル・ヨハネスホフワイナリーでは約40ヘクタールの畑でブドウを栽培し、精力的にワイン造りをしています。

newsweekjp_20240822080035.jpgマルティン・コレル氏と彼のチームは、企業家カーステン・クナウアー氏と協力してワイナリーを運営しています。マルティン氏のビジョンは、あらゆる分野で持続可能な経営を行うことであり、野心的かつ前向きな目標を掲げています。

コレル家の先祖はスペインからやってきて、1832年にナーエの現在のワイナリーに最適な場所を見つけたそうです。父の後を継いで以来、マルティン氏は有名なブドウ畑を手に入れ、今ではナーエで最も確かな畑のポートフォリオのひとつを栽培することができるようになりました。ワインの輸出先はニューヨークからモスクワ、国内ではズュルト島やテーゲン湖をはじめ、高級リゾート地へと販路を広めています。

画像・5地域にあるブドウ畑の説明をするマルティン・コレル氏(左)

newsweekjp_20240822080121.jpg

「テロワールを非常に個性的で表現力豊かな方法で反映すること。私たちのワインは、産地の物語を語り、飲む人に大きな喜びをもたらすものでなければなりません」と、マルティン氏。

「一貫した有機栽培により、私たちはブドウ畑の生物多様性を促進し、ブドウの木が特にくつろげるようにしています。これにより、秋には最高品質の健康なブドウを収穫することができ、次世代のためにブドウ畑を持続的に強化することができるのです」(マルティン氏)

newsweekjp_20240822082017.jpg試飲では異なるテロワールのリースリングを紹介していただいた。それぞれの土壌の個性を持つワインは、非常にエキサイティングで楽しい試飲でした。

特に印象に残っているのは、リースリング・クロイツナッハーパラダイス。貝殻石灰岩はまろやかで滑らかなワインを生むといわれますが、このワインはそれが見事にマッチしている一品です。他のリースリングと比較すると、説明しがたい熟度のアドバンテージがあり、テロワールを大きく反映する一品です。

クルジウスワイナリー

クルジウス家は1576年、トライゼンの小さな村にその歴史がスタートした伝統あるファミリーです。 ワイン造りは代々受け継がれ、1888年には現在のワイナリーの礎が築かれました。

1950年代に農業とブドウ栽培の混合事業を辞め7.5ヘクタールのワイナリーに転換し、今日では30ヘクタールでブドウを栽培し、国内でトップクラスのワイナリーとなりました。老舗ワイナリーの中心人物は醸造マイスターのレベッカ・クルジウスさん(画像下)。

newsweekjp_20240822080211.jpg5つの地域にブドウ畑を所有し、年産12万本、フルーティで複雑味のあるミネラルリッチなワインを産出しています。ブドウの主要品種はリースリング種(55%)、ピノブラン種(25%)やミュラートゥルガウ種、シャルドネ種、ピノノワール種を栽培、ブドウの個性を大切にしているとレベッカさんが教えてくれました。

ブドウ畑の特徴は、ナーエの象徴でもあるローテンフェルスと呼ばれる赤い断崖の麓にあり、主に火山岩や赤岩・花崗岩で形成された土壌の素晴らしいテロワールです。

newsweekjp_20240822080327.jpgなかでも一等地のローテンフェルス・高さ200メートルの断崖はアルプス以北で最も高い険しい山肌で、山麓ではリースリングのみを生産しています。

次回はプファルツ地域のワイナリーとテロワールについて紹介します。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ