ドイツの街角から
ドイツ・アウトバーン(高速道路)の走行速度制限130㎞導入?ロシア依存脱却の省エネ対策とは
ドイツ経済研究所の調査によると、アウトバーンを利用する77%のドライバーはすでに130km/hより遅い速度で走行しているそうだ。渋滞や何らかの事情で全車線を利用できない時もある。
そのため反対派は、「今さら速度制限を法律で規制する必要はない」と声を高めている。
とはいえ、ドイツ自動車連盟(ADAC)会員を対象にした最近の調査でもドライバーの50%が速度制限に賛成している。
また世論調査機関YouGovが4月に発表した調査によると、ロシアのガス供給からより早く自立するために、EU気候パッケージの措置を前倒しすることに賛成する人が64%に上った。このパッケージは、2030年までにEUのガス消費量を約30%削減することを定めている。
若い世代は自家用車を持たなくなり、カーシェアリングや電車を好む人も多くなっている。電動自動車(EV)がコンピューターによって制御され、高速道路で自律的に加速し、車間距離を保ち、感情抜きで効率的に渋滞を回避するようになれば、自動車も多くの交通手段のうちのひとつになるだろう。
アウトバーン走行の速度制限はどうなるのか、結論は出ていない。いずれにせよドイツ人のモビリティ行動は今後大きく変化するとみられる。
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko