ドイツの街角から
ドイツ・コロナ禍のトレンド「ペットを飼う」に待ったをかける動物保護施設の切実な訴え
犬を飼えば、時間だけでなく費用も高くつく。
犬税(年間100ユーロほど・1万2千6百円))をはじめ、エサやおやつなどの年間費用は、犬種によるが、750ユーロから1200ユーロほど(約9万5千円~15万円)。さらに、予防注射や予期せぬ病気・ケガの治療費もかさむ。休暇や出張中に預ける動物ペンション料も考えねばならない。犬を飼うには多くの責任を伴い、それ相当の心構えも必要だ。
まずは賃貸犬で散歩に行く手もある。あるいは友人のペットを休暇中に預かり、本当に自分で飼うことができるのか体験してみるのもいいだろう。
コロナ禍の現在、すぐティアハイムへ足を運ぶことは難しいが、事前予約をして出かけることも可能だ。以前、取材したハイデルベルク・ティアハイム施設長デジレ・シュティアさんは、こう語っていた。
「里親になりたい人達は何度も施設を訪問し、気の合いそうな動物をゆっくり探します。動物が好きだからというだけでは譲渡できません。例えば犬の飼い主になりたければ、住居環境や保護者の家族構成、勤務時間など質問に答える必要があります。施設として動物を譲渡すればそれで終わりというわけではなく、新環境の中で動物が大切に育っているのか、その後のフォローもしています」
ドイツ政府はコロナ感染抑止の強化対策としてロックダウンを2月14日まで延長し、企業の在宅勤務も増やすよう要請した。ホームオフィスはしばらく続きそうだ。
最後に前出ベルクハイム・ティアハイム長ハイケさんの切実な思いをお伝えしたい。
「ロックダウン中、これからペットを飼いたいと思っている人に向けてキャンペーン写真を投稿しました。目的は、これ以上不幸なペットを増やしたくないからです。飼うなら、コロナ禍だけでなく、10年以上付き合う覚悟をしてください」
変更後:ドイツは正当な理由がない限り動物の殺処分を禁止している
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko