パスタな国の人々
コロナでも変わらない?イタリア人のコーヒー愛
コロナで奪われた人生の楽しみ
ミラノの市場調査会社「アストラ・リチェルカ」によると、オンラインで1000人にインタビュー調査をしたところ、コロナウイルスの感染拡大でバールに行く機会が激減してしまったイタリアで、90%が家でコーヒーを消費していたことがわかった。2014人に行った同じ調査では89%だったので、ほんのちょっとだけ増えている(意外と増えていないんだな、と私は思ったけど)。そして10人に4人は一日に2〜3杯、同じく10人に4人が一日に3〜4杯、家でコーヒーを飲んでいたことがわかった。
イタリア人の家庭で飲むコーヒーの代表選手といえば「モカ」という機械(というよりはポット)で淹れるコーヒー。3つのパーツでできたそのポットの、一番下に水、真ん中にモカ用に挽いた粉を入れて火にかけて待つこと数分、上のパーツにコーヒーが湧き上がってくるという仕掛け。エスプレッソの美味しさには及ばないけれど、ぶくぶく湧いてきた時の家中に漂うコーヒーの香りが好き、というイタリア人は多い。
一方、バールはロックダウンや、それに続く飲食店の営業規制で大きな打撃を受けていて、2014年には77,5%だった利用率が(へー、100%じゃないんだ、と驚いた)2020年は65%に激減した。そして60%の人がバールでコーヒーが飲めないことを寂しいと感じていて、65%のオフィスワーカーや学生は、会社や学校の近くのバールでコーヒー休憩ができないことを「苦痛」に感じ、83,7%はバールでコーヒーを飲むことを「人生の楽しみの一つ」としてあげているという。
(ANA通信 12月2日 https://www.ansa.it/canale_terraegusto/notizie/in_breve/2020/12/02/covid-non-fermapassione-italiana-per-il-caffe_8efc66f6-fdf7-4314-a15b-b07fbfc27135.html)
そんなイタリアで、明日からバールも、そしてレストランも営業が再開する(ただし18時まで)。誰とお茶に行こうかな、ランチはどこがいいかな? なんてガイジンの私まで、ちょっとウキウキしてしまう。長く続いた営業規制で飲食業界の66%が倒産の危機と言われる今、このウキウキで少しでも挽回できるといいと思う。と同時に、これでまた感染拡大なんてことにならないといいけど、と疑心暗鬼な気分も否めない。
著者プロフィール
- 宮本さやか
1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。