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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

感染状況激しいインドへ救援に行く、自分も仕事がないのに他人に食事をプレゼントする。そんなイタリア人の助け合い精神はどこから?

イラスト:I Stock/yogysic

イタリアでは今、ワクチン接種がどんどん進んでいる。

トリノに住む私の周りの友人たちも、ミラノやフィレンツェの知人たちからも、接種した! 私も私も!という声が直接、そしてSNSを通してどんどん聞こえてくる。

かくいう私も、ピエモンテ州のワクチン専用サイトで予約開始と同時に予約をしたら、10日後に日時と場所を知らせるSMSが届いた。約1ヶ月後の6月14日だという。60代の知人たちは、予約を入れてから1ヶ月ほどかかって、接種日の前日などにバタバタと連絡が入ったと言っていたが、数をこなして予約システムがうまく機能し始めているということだろうか。ちょっと前までワクチン接種が遅々として進まず、感染者数も減らないまま行動規制解除に踏み切った政府に対する大批判と、再度の感染拡大に怯えていたイタリアだったが、そんな話はもう、遠い昔のできごとのようだ。飲食業界も営業を開始し、人出も多いのに感染者数、死者数共にどんどん減ってきている。ワクチンの効果が出ているということらしい。

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今現在イタリアでは、飲食店は外の席でのみ営業可能。どの店も路面に席が溢れている。(写真:i Stock/Photo Beto)

そんなイタリアで、ちょっと前に、こんな小さなニュースが流れた。

「酸素提供のスペシャル医療スタッフ11名が、ピエモンテから感染拡大激しいインドへ出発」。

自分の国でワクチン接種が進み、感染状況も改善してきて、不眠不休で働いてきた医師たちもようやく少し一息つける、そんな時に、恐ろしいほど過酷な感染状況にあるインドへ救助の手を差し伸べに出かけて行くなんて。

https://www.lastampa.it/torino/2021/05/02/news/specialisti-operatori-e-ossigeno-il-piemonte-in-soccorso-dell-india-1.40224454?fbclid=IwAR2x6IEHBhTdwV-QDOLlngKr-CjNUeRxUEf_0Lu4U6x9bcsWUyHlTbYjNGg

ピエモンテ州が持っている酸素製造システムを使って、一般の病院や仮説病棟全体に酸素を供給するためだという。昨年3月、ヨーロッパで最初に感染が爆発し、医療崩壊が起き死者が激増した時に導入したそのシステムを使えば、1時間に61.800リットルの酸素を作ることが可能で、人工呼吸器に繋がれた68人の患者に酸素を供給できるのだそうだ。イタリア政府からの要請で、ピエモンテ州がよっしゃ!と応じた、ということらしい。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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