パスタな国の人々
ワクチン接種率はようやく20%、感染者も死者数もまだ多い、なのにロックダウン解除のイタリアの行方。
10月に新型コロナウイルス第2波が襲ってきて以来、ずっと外出規制が続いているイタリア。感染状況によって、地域によって緩厳の差はあったものの、クリスマスや4月4日の復活祭には全国ロックダウンにもなり、そんな規制が今までずっと続いている。
例えば私の暮らす北イタリア・ピエモンテ州では、復活祭のロックダウン後もレッドゾーン(必要最低限の店のみ営業。学校なども休み)のままで、4月12日にようやくオレンジゾーン(商店、ブティックは営業可。レストラン、バールなどはテイクアウト、デリバリーのみ。映画館やジムなどは休業)になった。
そんな4月26日、ついにこれらの規制を解除し、イタリアのほぼ全州をイエローゾーンにして、飲食店も営業再開、学校もほとんどが100%対面授業になるという。
ほんとうに大丈夫?
ところが感染の状況を見てみると、
4月23日 イタリア:新規感染者数14,761人、死者数342人。
3月のピーク時よりはずいぶん減ったとはいうものの、まだそんなに安心できる数字には見えない。この心配は素人の私だけでなく、多くの感染症専門家、政治家たちも抱いているようで、ここ数日、テレビの討論番組では盛んに議論(というかほぼ喧嘩)が繰り広げられている。そこで登場する「心配な理由第1位」がイギリスとの比較、違いだ。
イギリスはイタリアよりもずっと厳しい感染状況を完全ロックダウンで押さえ込み、ロックダウン中にワクチン接種を猛スピードで進めた。その結果、4月12日から行動規制の解除を始めることができた。その時のデータがこれだ。
4月12日 イギリス:新規感染者 2,389人 死者数 23人。
イタリアと全然違うじゃないか。しかもワクチンの接種状況もまったく違う。
イギリス政府は4月12日には全国民の50歳以上、およびリスクが高いカテゴリーの人全員に1回の接種を終えたという。
著者プロフィール
- 宮本さやか
1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。