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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

コロナでも変わらない?イタリア人のコーヒー愛

コロナ前のイタリア人は1日何回バールでコーヒーを飲んでいたか?

2018年のFIPE(イタリア公共商店連合)の調査によれば、全イタリアに15万件のバールがあったそうだ。イタリアの2019年の人口が6036万人だから、ざっと400人に1軒という計算になる。ところがその内の3分の2がピエモンテ(州都トリノ)、ロンバルディア(同ミラノ)、ヴェネト(同ヴェネチア)、エミリア・ロマーニャ(同パルマ)、トスカーナ(同フィレンツェ)、ラツィオ(同ローマ)、カンパーニャ(同ナポリ)の6州に集中しているというから、人数あたりのバールの数はこの6州ではもっと多いことになる。そのバールが平均して一日175杯のコーヒーを売っていた。ここでいうコーヒーとはエスプレッソだけのことだそうだから、カプチーノなんかも入れればもっと多い。この数字だけ見てもイタリア人がどれだけバールが好きかというのがよくわかる。

どんな使い方が一般的かというと、まずは朝食。朝起きたら家では何も食べずに出かけてオフィス、または学校(高校生や大学生)近くの馴染みのバールでエスプレッソまたはカプチーノと、コルネットやブリオッシュとイタリア人が呼ぶ、中にクリームやジャムが入った甘いパンを、さっと立ち食いして一日をスタートする。

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カプチーノを飲むのは、お腹が空いている朝食時、またはおやつ、というのが一般的なイタリア人。食事の仕上げにはエスプレッソを飲むのが普通(写真:i stock/wjarek)

午前中には10時にもう1杯、ランチの後に1杯、おやつに1杯、なんていうのが珍しくないイタリア人のバールの使い方だった。毎度長々居座るわけではなく、さっと入ってカウンターで1杯エスプレッソを飲み、ちょっとおしゃべりをして(ここが大事・笑)帰る、そういう使い方。ちなみにイタリア人はエスプレッソを頼むとき、わざわざエスプレッソください、とは言わない。「ウン・カッフェ・ペルファヴォーレ=コーヒーを1杯ください」といえば、自動的にエスプレッソが出てくるのだ。

最近では「ネスプレッソ」とその類似品が勢力を伸ばし、バールへ行かなくてもオフィスで美味しいコーヒーが飲める、つまり息抜きに行けなくなってしまって、なんだかイタリアらしくなくてつまらないと思うのは私だけだろうか。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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