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日本人コーヒー生産者が語るコロンビア

松尾彩香|コロンビア

墜落から40日 コロンビアのジャングルで行方不明になった子供4人を発見

©️YouTube-Fueron trasladados a Bogotá los cuatro niños rescatados en la selva del Guaviare

「墜落から40日、ついに4人の子供発見!」コロンビアは今この嬉しいニュースで持ちきりになっています。墜落した小型飛行機に乗っていたはずの子供4人の捜索が始まって40日。もうダメなのかと誰もが諦めかけていたところに飛び込んできた朗報に、国は歓喜に沸きました。子供たちの健康状態は安定していますが、現在は近くのクリニックで治療を受けています。赤ちゃんを含む子供4人が40日もの間ジャングルの中で生き延びることができたことに対して「奇跡」と表現しているメディアもたくさんありますが、これは子供達のサバイバル力や生き抜こうとする心、諦めずに捜索にあたった軍隊やそれに協力した先住民たちがもたらした結果でしょう。すでに日本でも報道されているニュースですが、このドラマのような救出劇について少し掘り下げた内容をシェアしていきたいと思います。

 

墜落したセスナと消えた子供たち

5月1日、一機のセスナがコロンビアのカケタ県とグァビアレ県の県境周辺で行方不明になりました。15日、アマゾンのジャングル内で探知犬が乗客のものとみられる哺乳瓶を発見。翌日には同県ソラノ地域のパルマロサで墜落したセスナが見つかりました。間も無く同機に乗っていたパイロットと先住民指導者、1人の女性、計3名の死亡が確認されましたが、同乗していたはずの女性の子供たち4人の姿が見つかりません。子供たちの年齢は13歳、9歳、4歳、1歳(行方不明時はまだ11ヶ月)。事故現場の荷物からおむつなどがなくなっていることから「子供たちは生存しており、助けを求めるためにジャングル内を彷徨っている」として大規模な捜索が始まりました。

 

困難な捜索 錯乱する情報

アマゾンのジャングルのど真ん中で行方不明になった子供たちを探すのは困難を極めました。112人の特殊部隊と探知犬に加え、アマゾンに精通した先住民72人が夜通し捜索にあたり、行方不明の子供たちが寝泊りした形跡や食べかけのフルーツ、ヘアゴムなどは見つかったものの肝心な子供たちの姿はどこにも見つからないのです。空からは「そこから動かないで」と子供たちの祖母が録音した声を流し、陸で活動する軍隊は食べ物などを詰めた救援キットをジャングル中に撒き、目印に使った標識テープに笛をぶら下げるなどをして捜索活動を続けました。

誰もが子供たちの発見を待ちわびる中、23日どこからともなく「子供たちが見つかった!」という情報が流れ始めたのです。グスタボ・ペトロ大統領も自身のツイッターで喜びのコメントを残し、日本でもニュースになりましたが、結局その情報に根拠はなく大統領もそのツイートを翌日には削除しています。

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発見された足跡 ©️YouTube -Cronología del accidente de avioneta en el Guaviare | El Tiempo

 

40日目にして発見!捜索を諦めなかった理由

行方不明だった40日の間、子供たちの家族や捜索隊が希望を捨てることは一切ありませんでした。次々と見つかる子供たちが残していった足跡、さらに捜索隊が彼らのためにばら撒いた救援キットには使用された形跡があったのです。「我々は希望は失っていない。彼らは生きている。力尽きているならもうとっくに見つかっているはずだ。」と、この捜索を率いているサンチェス司令官がメディアのインタビューに答え、その翌日墜落した小型飛行機からわずか5キロ離れた場所で子供たちは発見されました。彼らは非常に痩せており脱水症状や全身の虫刺されなどの症状はありますが、体調は安定しており9歳と4歳の子供たちはすでに病院のベッドで寝ていることに退屈していると関係者は語っています。

樹高40mにもなる木々が生茂るジャングル。ジャガーや毒蛇、毒を持つ植物などがウヨウヨしているアマゾンで彼らはどうして生き残ることができたのか。その一番の理由はなんと言っても彼らのバックグラウンドでしょう。行方不明になった子供たちは先住民ウィトト族出身。子供とは言っても多くの日本の子供達のようにテレビを見たりゲームで遊んだりして過ごすのではなく、彼らは常にジャングルの中で遊び自然と触れ合いながら生活しているため、森の中にいることには慣れているのです。そして自然崇拝している先住民は野草などの知識も豊富。どの植物なら食べられるのか、何に触ってはダメなのかなど、先祖代々受け継いできた知識を持っていることが今回彼らの命を繋いだ大きな鍵となるでしょう。子供たちの叔母であるダマリスは、子供たちの捜索中に行われたインタビューで「長女のレスリーとは枝や葉を使って秘密基地を作ってよく遊んでいました。親が働いている間も率先して他の兄弟の世話をして母親の右腕となっていたので、今ごろ彼女が弟たちを導いていることでしょう。」と答えており、叔母のいう通り行方不明だったこの40日間、長女のレスリーが兄弟を守りながら生き延びていたようです。

まぁそうは言ってもこの40日間は彼らにとって辛く過酷な毎日だったはず。とにかく今はおいしいものをたくさん食べてゆっくり休んでほしいです。

スクリーンショット 2023-06-11 午後6.46.13.png

発見時の写真©️YouTube - ¡Un auténtico milagro! Rescataron a niños que estaban en la selva

 

捜索はまだ終わらない

行方不明だった子供たちが見つかりハッピーエンドかと思いきや、現在は探知犬ウィルソンの捜索が続いています。ウィルソンは1歳半のベルギーシェパード。小さな頃から訓練を重ねてきた優秀な探知犬です。子供たちが残していった形跡を次々に見つけ出したウィルソンですが、子供たちが見つかった今、今度はウィルソンが行方不明になってしまったことを軍隊は明かしました。国民らは子供たちが見つかった喜びと共に発見に大きく貢献したウィルソンの捜索を続けるよう捜査隊らに祈願しており、軍は公式ツイッターでウィルソンの捜索を継続して行うことを明言しています。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住

ブログ: http://campesinita.com

Twitter: @maon_maon_maon

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