日本人コーヒー生産者が語るコロンビア
コロンビアで多発する森林火災 その理由は?
コロンビアには季節がなく年間通して気温の変化はほとんどありません。その代わり乾季と雨季があり、今現在コロンビアのほとんどの地域は乾季の時期にあたります。
雨が少ないこの時期に心配されるのは森林火災。コロンビアでは昨年12月16日から今年2月4日までに301件の森林火災が報告されており、現在597の自治体に森林火災に注意するよう警報が出されています。
各地で発生する森林火災
1月22日クンディナマルカ県グァタビタで森林火災が発生。炎は一気に燃え広がり、5つの自治体の消防機関が応援に駆けつけ消火活動にあたりました。火は23日の時点で90%コントロール下にあると発表されましたが、クンディナマルカ県消防本部アルバロ・ファルファン隊長によると、この火事で原生林15ヘクタールが焼失したとの報告がありました。出火の発生原因は明らかにはされていませんが、何者かによる火の不始末が原因ではないかと言われています。
#NoticiaW | Bomberos en Cundinamarca atiende incendio en la zona de Tominé en el municipio de Guatavita. → https://t.co/sjfyaaURv0 pic.twitter.com/apMfvbCEIC
-- W Radio Colombia (@WRadioColombia) January 22, 2022
2月12日サンタンデール県のロスサントスでは80ヘクタール以上が焼ける森林火災が発生。田舎のため十分な水の貯蓄がなく、他の自治体に水の運搬を要請する必要があったことと、風が強く吹いていたことで消火活動は難航しましたが翌日無事消し止められました。火災の原因は焼畑と見られています。地元の消防機関は森林火災警報が出ている期間は焚き火やゴミを燃やすなどの行為は控えるように地元住民に呼びかけました。
#RCNRadio | Fue controlado un incendio en el municipio Los Santos, el cuerpo de bomberos de @floridabomberos hizo presencia en el lugar pic.twitter.com/TtdUk9jln8
-- RCN Radio Bucaramanga (@RCNBga) February 13, 2022
進むアマゾン熱帯雨林破壊
頻発する森林火災の中でも最も注目されているのはアマゾン熱帯雨林の火災。12月15日から2月5日の間にアマゾンだけで170件もの火災が報告されていますが、焼失の規模はここ15年で最悪とも言われています。
火災によるアマゾン破壊は世界複合遺産に指定されているチリビケテ国立公園の敷地内でも確認されており、2月4日には防衛省のディエゴ・モレノ大臣が国立公園上空を視察飛行しました。
「麻薬組織とFARC分離派(ゲリラ軍)がチリビケテ国立公園を燃やし土地を自分たちのものにしてしまう様子を見て心が痛みました。」とこれらの出来事には違法組織が関与していることを明言し、環境保護に関する法律の締め付けを強化と1200ヘクタールの失われた森林を植林で取り戻すと宣言。更にこれらのアマゾン破壊に関与しているとされる17名を懸賞金つきで指名手配しました。
アマゾンの森林が年々切り開かれている理由は放牧地の拡大、違法植物の栽培、違法組織のキャンプ場開拓など様々ですが、フランスのパリの面積に匹敵するほど大規模な今回の森林火災を受けて、180の専門家たちがイヴァン・ドゥケ大統領に対してこれらのアマゾン破壊を早く食い止めて欲しいと要求を出しています。
.@PaoHerreraC, ayer sobrevolamos Chiribiquete, se inició Fase 14 de #CampañaArtemisa con 400 hombres de Fuerza Pública que intervendrán 11 puntos del parque.
-- Diego Molano Aponte (@Diego_Molano) February 5, 2022
No permitiremos que disidencias de las Farc sigan haciendo esta práctica ecocida que destruye nuestros bosques. https://t.co/VvPqVGmnyi pic.twitter.com/aoSq9Gfrza
都市部では空気汚染が深刻に
以前から首都ボゴタやメデジンでは空気汚染が問題視され様々な対策が講じられてきましたが、今回の森林火災で発生した煙や有害物質が風によって都市部に送られてくることによってこの問題は更に悪化。病院にはコロナウイルス患者と、空気汚染が原因の呼吸器疾患や肺疾患を訴る患者が押しかけ、ボゴタには一時「病院黄色信号」が発せられました。
ボゴタのクラウディア・ロペス市長はこれらの空気汚染を「無言の殺人兵器だ」と表現し、外出時にマスクを着用することや屋外での運動を控えるよう市民に呼びかけています。
Bogotá declaró alerta ambiental y hospitalaria por contaminación en el aire. https://t.co/iYetXgghGU
-- Mas ! (@NoticiasMasCol) February 6, 2022
[Portafolio] #MasNoticiasCol #Char #Spamdefeos #YoVotoPacto #GraciasVivesShakira #Porfavornomas pic.twitter.com/5tN1LQONyD
アマゾン熱帯雨林の火災をはじめ頻発する森林火災で多く自然を失ってしまったことに対し、コロンビア人は心を痛めこの出来事を問題視しています。
コロンビアは今年3月に国会議員選挙、5月に大統領選挙を控えていますが、環境問題への取り組みやこういった環境破壊を加速させている違法組織とどのように戦っていくのかも投票の重要な判断基準となっていくことが予想されます。
著者プロフィール
- 松尾彩香
コーヒー農家を営む元OL。コーヒーを栽培する一方で、コーヒー農家の貧困や後継者不足問題、コロンビアでの生活についてSNSを通じて発信。朝の一杯のコーヒーに潜む裏話から、日本ではあまり報じられないコロンビアの情勢まで幅広くお伝えします。2022年7月よりスペイン在住
Twitter: @maon_maon_maon